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夏は涼しい部屋で読書

2019.08.05 20:05|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・西崎憲編「英国短篇小説の愉しみ1看板描きと水晶の魚」



海外の小説にも慣れていきたいなと思ったのでよさげな短編集借りてみた。
文学よくワカラナイからあまりにも文学文学されると挫折しちゃうかなぁと不安だったけど、意外にも分かりやすいオチがある話が多く私でも読みやすかった。いやけっこう分からん話も多かったけど…。表題作の「看板描きと~」もよく分からんかったけど、神秘的な雰囲気がけっこう好き。「羊歯」や「鏡の中の貴婦人」の、丁寧に描写を重ねてから最後に無慈悲に叩き潰すというオチは英国っぽいなと思った。適当言ってるけど。

・乃南アサ「凍える牙」



有名な作家さんらしいので前から読みたいと思ってた。シリーズ一作目。
主人公の貴子がカッコイイので続きも読みたい。滝沢班は同僚からはいいコンビに見えたらしいけど、当人達の視点を見てる方からすると滝沢はまったくいい上司とは思えなかった。貴子の方はちゃんと謝ったけど滝沢は女は差別して当然みたいな考えのまま終わってるし。続編で滝沢が貴子を相棒として認めていく流れでもいいけど、これっきりいなくなっても全然いいという感想。

・有栖川有栖「乱鴉の島」



久しぶりに館ものでわくわくしてたけど、不気味な舞台のわりにそこまで人は死ななかった。
動機も島の陰謀の中心とはちょっとズレたところだったし。序盤「動機なんか皆ないけどもしかしたら親の仇とたまたま出会ったかもしれないし」みたいな軽口叩いてたけど伏線かよ…。
子供たち二人が既に夫婦のクローンなのでは??と予想してたのでわりと大人しいところに落ち着いたなと思った。まあ本気で二人のクローンならもっと頻繁に会える環境で育てるか。

・歌野晶午「絶望ノート」



狼少年日記の成れの果て…って感じだろうか。
もしショーンの思惑が明らかになったとして、彼は何の罪に問われるのかというと未成年ということもあってかなり微妙なとこだと思うから、まったく予想していなかったところ(しかし無関係でもない)から理不尽な暴力に晒されて終わるというのは因果応報感があった。いや天罰というべきか。

・吉永南央「紅雲町ものがたり」



七十後半のおばあちゃんがのんびり日常を送りつつ事件を解決していく話。
一般のおぱあちゃんが主人公なので派手な殺人事件とはいかないけど、そのぶん料理や古民家や着物の描写に和む。最初はおばあちゃん相手なら相手の油断を誘えて良さそうだなと思ったけど、おばあちゃんだからこその苦労(主に痴呆関連)もあり新鮮だった。

・有栖川有栖「妃は船を沈める」



癖のある悪女の話面白かった。
二つ目の方では妃がまた若い男たぶらかして手のひらで転がして…みたいなやつかと思ったけど、死んでるのが昔の男(?)の時点で旦那への愛情は本物、アリスの推測が正しいってことでいいんだよね。
最初の事件の時点で何かしらの罪を償っておけば旦那と出会うことはなく、今の幸福を自分で壊すことにはならなかったのかもしれないと思うと、猿の手で狂った人生だったなと。

・アーサー・コナン・ドイル「シャーロックホームズ全集1緋色の習作」訳:小林司 東山あかね 注・解説:高田寛



別の本を探してる時に見かけて、そういやホームズの派生やモチーフにした作品は色々見たことあるけど原作はちゃんと読んだことなかったな~と思って借りてみた。分厚いので不安だったけど注釈が大量で、本文の半分以上はある。でもいちいち本編を中断して確認しに行かなくても内容はだいたい理解できるし、びっくりするくらい読みやすかった。まったく古さを感じさせない。注釈はホームズにハマった人、もっと細々した背景を理解したい人向けって感じっぽい。

初めて読んだ原作ホームズ像は、今まで見たホームズ派生作品のどれというより島田荘司の御手洗が一番近いような気がした。この謎の躁鬱状態、謎の観察力、自分だけ分かってて説明すっ飛ばしていくとこ、手品のように犯人が現れる感じとかが。
注釈はいつかホームズにはまった時の二周目に読むことにして、まずはさくさくシリーズ本編読んでいこうと思います。

・畠中恵「ひとめぼれ」



読んだと思ったら読んでなかったシリーズ六作目。まんまことシリーズは基本平和なもののどうしようもないすれ違いも多くて切ない。
「わかれみち」のラストのところとか、それまで普通に読んでたのに「もし変な横やりが入らず何事もなく時が経っていたら、大倉屋が麻之助の義父になっていたのかなぁ…」と唐突に思い出して切なくなった。

一葉については吉五郎といい感じなんじゃないの?いきなりぽっと出の色男に目移り?と一瞬思ったものの、そりゃ十歳かそこらの時にずいぶん年上の兄ちゃんが養子として入ってきたら兄としか意識できなくなるわな、と思うとわりと同情的。まあ兄妹みたいな関係の夫婦というのもアリだと思うしいつかくっつく未来もあるかもしれない。そこはあんま心配してないけど、それより小十郎様が吉五郎を完全に跡取り息子として認めたことが嬉しかった。春四郎は現代の感覚で見るとクズなんだけど、当時の三男四男は皆必死だったろうし乙って感じ。顔の良さを生かして役者とかやればいいんじゃないかな…。

・小川糸「さようなら、私」



過去に色々あった女性たちがちょっと変わった経験を積んで悲しみを克服し、新しい人生を歩む話。って感じだろうか。切なくも優しい空気感が良かった。「恐竜の~」の美咲は、慣れない異国でヒスりがちで決していい印象ばかりではないけど、突然未開の地に飛ばされた日本人ってこんな感じなんだろうな…と納得してしまうリアルなヒスだった。異世界トリップものの主人公が馴染みすぎるだけで実際皆こんなもんだって絶対…。

・アーサー・コナン・ドイル「シャーロックホームズ全集2四つのサイン」訳:小林司 東山あかね 注・解説:高田寛



今回も半分くらい注釈なのかなと思ったらそうでもなかった。
ショルトー弟とモースタン嬢は感じのいい人だったし、兄も殺されるほどのことはしてないんだろうけど、両父親は恨まれても当然だなと思った。まあでも犯人も他人を殺して得た財宝なんだから、奪った者が奪われるのは当然といえば当然か。
しかしホームズとワトソンの関係が、というか御手洗と石岡君が被りすぎていてなんか微妙な気持ちに…。

◆という読書感想文でした。
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読書感想文+魔法使いの嫁

2019.07.19 19:49|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・ツルゲーネフ「はつ恋」



小川洋子の文章に飢えすぎて小川洋子の訳した作品にも手を出してみたんだけど、これは単純な訳文ではなくかなりアレンジ加えられてるのかな?ウィキによると元は中編小説らしいけどこの作品は「少女」の名前すら出てこないし大人の絵本って感じのつくりだった。こんなんが初恋だったらトラウマ間違いなし…という感想しかなかったけど半自叙伝的物語らしいのでこわい。

・島田荘司「Pの密室」


御手洗少年の事件簿。御手洗はいつも最後まで引っ張って引っ張ってようやく回答編してくれるけど、大人への口実のように言った「これから僕が大人を殺人者だって言うんだよ。ちゃんと確認しなきゃ」っていう気持ちを今もずっと持ち続けてるんだなと思った。
この前の事件を知らないので里美という人のこと知らないんだけど、とにかく石岡君はいちいちめんどくさい男だった。

・原田マハ「異邦人」


絵や京都の風景の描写はとても瑞々しくて美しいのに、それを取り巻く人間関係はこれでもかというほど汚い…今まで読んだこの人の作品の中でも一番生々しくドロドロしていた。「サロメ」みたいな悲劇的愛憎みたいな感じでもないし…菜穂と樹の関係は劇的で運命的、共犯者のような蠱惑的な関係なのに菜穂が鬱陶しすぎてそれに酔いしれる気持ちになれない。いや菜穂だけが悪いんじゃないけどね…。
菜穂に何の相談もせず支配しようとする両親、特に母親の方は最初からずっと娘婿に色目使っててずっと不快。一番一般人に近い一輝にはまだ感情移入できるけどまあヘタレだよなと思う。
でも菜穂の方も自分から経営に関わろうとせず自由奔放に遊び暮らしてるんだから蚊帳の外にされても文句言えないなと思う。それだけ審美眼があるならバリバリ経営に携われば美術館も画廊も傾くこともなかったのでは?原田マハの他作品では女性でもバリバリに働く学芸員とかいるぶん菜穂はなんで最前線に出て行かないの?って思った。

余裕ない倒産するって言われてるのに百万の作品をポンと買ったり、「作家を囲うくらいの気概を見せなさいよ」と内心不満だったり、無収入居候の身なのに京都に残る等の数々の強気発言も、結局自分には隠し財産があるからいざとなったら一人で生きればいいや~って思ってたからの我儘だったんだろうなと思うと菜穂もたいがいクズ。そんなことばっかしてたらそりゃ「何も知らないお嬢さん」扱いされるわ。天才は常人には理解できないというし菜穂もある種の天才だからここまで身勝手なのかと思ってたけど、自分も生々しい切り札隠してたんじゃんっていう。
全体的に登場人物はクズだしガチでアウトな人もいたけど、描写が多いぶん克子菜穂の母娘が一番ストレスだった。よく似た親子だよ。

・島田荘司「UFO大通り」


よくわからない変な出来事から事件に繋がっていくのが相変わらず面白い。しかし島田荘司の書く悪役は本当にコテコテの悪役で、あとでぎゃふん(死語)ってなるのがわかっててもちょっとイラッとする。

・小川洋子「口笛の上手な白雪姫」


今作もとてもよかった…。最初の黒電話の描写が好きすぎてしばらくそこで止まってしまった。話はやっぱりよく分からないものが多いけど、「かわいそうなこと」や表題作のなんとなく匂わせるようなオチも好み。
私も観劇の趣味はないけど「一つの歌を分け合う」で描かれているのが理想の観劇の形なのかなと思った。

・村田沙耶香「地球星人」


いつもの村田沙耶香全開って感じだった。
「人間工場」とかいうから近未来設定かと思ったけど普通に現代が舞台なんですよねこれ…。主人公の家庭環境が最悪なのは置いといても誇張した表現…に一見見えるけど、「中古より処女の方が~」とか「女とちがって男は相手が若ければ子供作れるから~」とか、そういう「現代にありふれた一言」を見ると全然間違ってなかった。

悪役は悪役らしくと大げさに書かれてるだけで、現代人は皆この感覚にとらわれてるんですよね…。ついさっきバラエティ番組で独身の芸人をごく自然にいじってたのを見て、これが「地球星人」の洗脳なんだなあ…としみじみと思った。年をとっても結婚しないのはみじめで嗤われても当然のこと、という常識がまかり通っている。この話の結末は幸福には思えないけど、「宇宙人」達の抱く違和感は絶対に忘れちゃいけないと思った。こういう感覚を確認するために村田沙耶香の作品は一度は読んだ方がいいし定期的に読み返すべきだなと思う。

・島田荘司「鳥居の密室」

・遠藤周作「沈黙」


名前は知ってるけどちゃんと読んだことなかったので有名なやつを借りてみた。内容は興味深かったけど、ただ私が典型的な「宗教に鈍感な日本人」なため主人公筆頭に迫害する者される者、どちらにもあまり感情移入できなかった。政治的理由、感情的理由で異教を毛嫌いする心理というのはまだわかるけど。

でもフェレイラやお奉行の「この国の人はこれまでもこれからも神を理解できない」「今までこの国で根付いていたと思っていたものは実はキリスト教ではなかった、形を変えた別のものだった」みたいな発言で、やっぱそうだよね~私には分かんなくても仕方ないよね~みたいな安堵感というか寂しさのようなものを覚えたりして…。
こういう感覚は海外に生まれないと分からないもんなんですかね。でも別に分かりたくもないというのも正直な気持ち。

・東野圭吾「十一文字の殺人」


以前読んだ女子大生コンビの事件が面白かったので、同じく女二人が組むこの話も期待しながら読んでみた。…けどこっちは年齢が上がったせいか「~わよ」「~だわ」等の古典的女言葉が多く、一部は関西弁のおっさん(~できませんわ、~しましたわ)に聞こえて時々集中力が途切れた。
話自体はするする読めるし面白かった。

・阿部謹也「ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界」


小説じゃなくて学術書?っていうのか?TLで見かけて面白そうだったので借りてみた。紹介文では怒涛のストーリー!みたいな感じだったので普通の物語を期待してたんだけど、「ハーメルンの笛吹き男」の真相については解明されずちょっと拍子抜け。でも歴史研究というのは単に「真実が明らかになる」ことではなく、「伝説から様々な歴史的背景を読み取る」ことが大事なのでこれでいいらしい。
笛吹き男は被差別対象であり災厄をもたらす役割を押し付けられた存在だとか、内部より外部からきた流浪の民に罪を押し付けたいとか、統治者の失敗で犠牲を強いられる庶民の絶望の訴えのために伝説となったとか色々興味深かった。
たしかに今はハーメルンの笛吹き男=小手先の芸で若者を騙して連れ去っていく人、みたいなイメージになってるけど、この背景を知ると色々な意味を含みすぎて、安易に何かの比喩には使えないなあってなってしまう。

しかし庶民の暮らしは想像していた以上に過酷で差別に溢れていて、当時の人々がいかに必死に暮らしていたのかというのが伝わってきた。そのただでさえ厳しい暮らしを宗教による対立、統治が余計にややこしくさせている印象しかなく、やっぱり「沈黙」で描かれるような純粋に宗教に生きる人の心理はよくわからんなと思った。

◆アマプラで久しぶりにアニメ一気観しました。「魔法使いの嫁」。
・一時期原作漫画の広告を目にした時はなんとなくいかがわしいやつかと思って男性向けなのか女性向けなのかもわからず避けてたけど普通に少女漫画だった。
世界観的にはハリポタにハウルともののけ姫が混ざったような印象…いやもののけ姫要素は九割エリアスですけど…。チセにちょっとなんかあるとすーぐタタリ神化しちゃうんだからも~エリアスったら~~。

・あとルツが可愛かったです。犬派にやさしいアニメ。
ハリポタでシリウス推しの私にとってはとてもツボな生き物だった…私も黒い大型犬と戯れたい…。大型犬にもたれて座ったり大型犬に腕の下から鼻突っ込まれて撫でることを要求されたい…。
発言がなんかズレてるから本当に元人間なの?イサベルイサベル言ってるから恋人かと思ったら兄妹??とやや混乱しましたが、完全に自分のこと人間だと思ってるやつだったんですね。こいつ自分のこと人間だと思ってるやろ…ってなる犬猫リアルでもたまにいるけどこういう思考回路してるんかなあと思った。かわいい。墓場で親父殿に首輪引っ張られても断固動かぬ!!してるやつも切ないシーンなのに可愛くて巻き戻してしまった。

・カルタフィルス(ヨセフ)の過去については解説サイトとかも見たけどちょっとよくわからんかった。
村で迫害されるのつらい←わかる
カルタフィルスが治ったら一緒に村を出よう←いい子
いじめはひどくなるしカルタフィルスも全然治らなくて苛立つ←しんどいよね
カルタフィルスと融合しよう!そんで一緒に村を出よう!←は?
融合したら呪いも引き受けるとか聞いてないしんどい←よくそんな見るからにヤバいのと一緒になったな??

融合なんていかにもヤバそうなことするくらいなら一人で逃げる、カルタフィルスを置いていけないなら荷台にでも載せて逃げるとかの選択肢はなかったんだろうか?魔術師の知識があるなら見るからにヤバイと分かりそうだし、なかったらそんな発想自体がまず出てこないだろうし。いやなくてもヤバいと思いそうなもんだが…。
カルタフィルスからヨセフに契約を持ち掛けるとか情に訴えてたぶらかすとか何かアクション起こした感じでもないし、追い詰められたヨセフの方が勝手に依存しまくって発狂しちゃったってことなんでしょうか…?
他の部分はファンタジーでも「なんとなく理屈はわかる」って感じだったので、よりによってラスボスヨセフのとこだけよく分からなかったのはちょっと残念だった。原作漫画ならもうちょいわかるようになってるんだろうか。

◆という感想文でした。

だいたい十冊感想文

2019.06.13 20:35|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・ジェフリー・ディーヴァー「ソウル・コレクター」


途中であれ?なんか時間飛んでない?ってなってシリーズ一作飛ばしてることに気付いてちょっと萎えたけど最後まで読んだ。
今回の事件は本当にどうしようもないというか、こんなんされたら一般ピープルはどうやって対処したらいいのか…。真犯人がライム達に狙いを付けた直後はもうあっちのやりたい放題になってたし。サックスが犯人に辿り着いたのも偶然でライムはサックス危機に陥ってその場所を見つけることで犯人見つかったようなもんだしあんまりスッキリしなかった。ずっとサックスの尾行やってた医者が有能だった。いや医者のせいでちょっと混乱したところもあったけど。

武器商人がどうのの話は前の巻の話なんだろうか?ちょっとよくわからんかったのでとりあえずキャッセルに痛い目見せてほしい。パムは一番最初の「ボーン・コレクター」でサックスが救ってその後失踪した娘っぽいし一作飛んでる間にプラスキーがかなり成長してたっぽいので早く読みたい…。よりにもよってかなり重要な巻を飛ばしちゃった感…。

・島田荘司「溺れる人魚」


ミステリというより歴史と科学(生物学?)の勉強パートが多かったけど面白かった。
ロボトミー手術のことは某映画で知ったけど、あそこの職員さんは主人公が手術受けないで済むようにものすごい手を尽くしてくれてめっちゃいい人だったんだな…と思った。

・川上弘美「七夜物語」


作りは児童書みたいな感じなのでダレずに読めるかな?と不安だったけど全然大丈夫だった、というか面白かっためっちゃ良かった。
児童書というよりかは大人が子供に戻って読むファンタジー、大人が子供の視点を覗かせてもらうファンタジーって感じだろうか。最後の「一番小さなものを救おうとした」っていう台詞にぐっときました。読んで良かった。挿絵も可愛いし色んな人に読んでもらいたい本。

・島田荘司「魔神の遊戯」


なるほどな~~っていう種明かしだった。言われてみたら首や腕を「引きちぎる」、女の首と犬の体を繋ぎ合わせる、そういったものを危険を顧みずあまりに無造作に配置する、このあたりの行為はいかにも子供のブロック遊びという感じがする。だから「遊戯」なんだね…。
でもこの子供の遊びを実際にやってしまう犯人の仕事量すごい。超人的。いや魔神的というべきか。作中でも言われてたけどこのエネルギーを別のところに使えばなんでもできそうだと思ってしまった。
ロドニー親子の村での様子は、結局どちらが本当だったのかは気になるところ。どちらも少しずつ嘘はあるんだろうけど、やっぱ母親は殺されたんじゃないかと思ってる。リンダがざっくり話したところではとにかく憎まれてたってだけで自殺する動機なかったし…。

・ジェフリー・ディーヴァー「ウォッチメイカー」


改めて一番読む順番間違えちゃいけないとこでやらかしちゃったなって…。犯人が逃げおおせるのを知ってたせいで大どんでん返しが個人的に小どんでん返しくらいになってしまった。これほど手強い相手なら、「ソウルコレクター」で片手間に相手するくらいじゃそりゃ負けちゃうよねって感じ。
キャサリン・ダンスは名前の響きからしてなんか素敵だしこれからも登場してほしいな。喋るだけでどんどん情報引き出しちゃうチートキャラだから扱い難しそうですが…。

・森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」


黒髪の乙女が可愛かった。黒髪の乙女目線だと先輩がなんだか知的でユーモアもあって影で努力するイケメンに見える不思議。先輩視点を見るとかなりの落差があるんだけど、でもなんだかんだ気が合いそうなのも不思議。
森見さんの話は「もてない大学生男子が青春を嫌悪しながらも青春に憧れなんやかんや頑張る男臭い話」というのが多い気がしてるけど、その中でも主人公がかなり報われてる方に見える。古本市に行きたくなった。

・有栖川有栖「白い兎が逃げる」


久しぶりの火村先生シリーズ面白かった。
「苦痛なく安楽死できる薬です!」という触れ込みの薬に「実際に使ってみました!とても楽に死ねたので☆5です!」なんてレビューある訳ないしな…と妙に納得してしまった。まさに売り逃げというかなんというか。

・原田マハ「デトロイト美術館の奇跡」


一枚の絵に対してこれほどまで思いを込めて描写できるんだなあと思った。たしかにちゃんと表紙の絵を見てみると、ところどころ淡いピンク色が散らしてあって地味なのに優しい感じがする。実物はどんな感じなんだろうな…。

・有栖川有栖「モロッコ水晶の謎」


「助教授の身代金」のタイトルで火村のことだと誤解されそうな「助教授」を使ったのは、犯人のミス(盗聴していたために「先生」等のワードや会話の内容で勘違いしてしまった)ことを示唆してるのかヘェーって思ってたらあとがきで「ふと思い浮かんだだけ」と書いてあって深読み乙だった。
「推理合戦」の雑なネーミングはあるあるだと思うのでちょっと笑った。「推理しただけですけど?」みたいにドヤってたけど実際は推理もくそもない感じだったのも大人げなくて可愛かった。

・風野真知雄「紀尾井坂版元殺人事件」


久しぶりに風野真知雄。
このへんは歯抜け状態で店頭にあるものを買ったので続きものだったらどうしよう…と不安だったけどちゃんと一冊で完結してくれてよかった。やんごとない身分の人が絡んだり上からの圧力があるとやっぱりストレス。というか坂巻とおゆうは未だにすれ違ってるのか…何やってんだ…。

◆という感想文でした。

GWにだいたい10冊感想文

2019.05.04 17:30|読書感想文
◆ネタバレ注意

・荻原規子「レッドデータガール4.世界遺産の少女/5.学園の一番長い日/6.星降る夜に願うこと」

またしても面白くて一気に三巻読んでしまった…。そして終わってしまった…。
秘密を守るのには限度があるからチームで世界遺産登録!という落としどころは面白かった。しかもなんか楽しそう。でも思ってたより一巻あたりで進む時間が遅く、まだ学校卒業してもいない状態なのは意外だった。キリがいいところではあるけどガチで俺達の戦いはこれからだ状態なのでこの先も読みたい…。

みゆき君は3巻あたりから分かりやすく嫉妬してくるの可愛かったです。まゆらの誘いに「そういう選択をしたのが自分の父なんだと思う」みたいなこと言って断った時はいやそれだけじゃないやろと思ったけど、どうにも掴めない雪政の真意とか目的とかがやっとわかった気がしてちょっと切なくなった。もしかしたら雪政さんと紫子さんも、お互いの気持ちを悟りながらあえて今の関係を選んだのかなぁ…。二次創作が捗りそうですね…。

・皆川博子「影を買う店」


全然知らない人だけどよく「み」の棚で見かけるので気になってた。短編集があったので借りてみたけど真ん中くらいで挫折。
ちょっと難解でほの暗く、不思議で独特な雰囲気は好みだったんだけど、個人的には好みより難解さの方が勝ってしまった…。
全体的によく分からない話が多かったけど、オチでドキッとさせられる話もけっこうあって面白かった。「沈鐘」の終盤とか特に好き。「使者」のお堅く狂ってる感じや「柘榴」にずっと漂う悲劇的な雰囲気も好きだし、「陽はまた昇る」は詳しい人考察解説よろしくお願いしますって感じです。

・乙一「天帝妖狐」


トイレのラクガキの話面白かった。ホラーテイストでありながらも生身の人間でもぎりぎり実現可能ととれる絶妙なバランスが怖面白い。
前川先生はめっちゃ怪しかったけど最後にあ~そっちだったか~~ってなってちょっといい話だった。主人公と謎のきずなが芽生えそう。

妖狐の方は話的には結局何も解決してないけど、一時の希望と別れの物語って感じなのかな。スッキリとはしないけど切ない別れの場面が美しかった。
この体を取り換えていく「早苗」っていうのは何か元ネタの妖怪とかいるんだろうか?見た感じかなり大物っぽいんだけど。気になる。

・「20の短編集」

20人の作家による20の短編アンソロジー。それぞれ短いからサクサク読めるかと思ったけど意外とダレてしまった…。
やっぱり20人=尺の都合があるからかな?「結局どういうこと?」「えっこれがオチなの?」と消化不良で終わる話が多かった。こういう時「よく分からなくても雰囲気で読ませる」というタイプの文章を書く人は強いなと思ったし、なんだかんだ言われても伊坂幸太郎のしっかりオチを付けるスタイルは好きだなと思った。
全体的にはあんまり満足できなかったけど、「この人の話もっと読みたい」と思える人が何人か見つかったのでよかった。

・三津田信三「はえだまの如き祀るもの」


久しぶりの東条シリーズ!相変わらず漢字が難解!
不気味な伝承や村の秘密、最後の犯人の動機も異様なものがあって面白かった。「蓬莱さん」になってしまった二人が出会った怪異は本物だったんだろうか。こうなると「物見櫓の怪」の坊さんのその後も気になるんだけど、彼は別の寺に戻ったから寺的なパワーで無事だったのか、それとも初代蓬莱が坊さんを追い出すために一芝居打ったってことなのかな?なんで東条が蓬莱の正体を突き止めたのか分からない。登場人物が限られてるから、っていうメタ推理だけじゃないよね?

村人海賊説は初出の時面白いなと思ったけど、真相は餌が罠にかかるのを待つっていうよりエグい感じに…。「はえだま様」の岩のあたりはよく魚が獲れるってのも納得だしそりゃその岩たたられるよって感じ。
最後のあれは現代になって飢える心配がなくなり、忌まわしい風習が過去になってもまだ口を噤み、「人口を減らすため」という狂った理由で再び人を殺め始めた村人に対してついに「はえだま様」の天誅が落ちたって感じなのかなぁ…。
正直おじいちゃんもそんなことで殺しちゃうの?と思ったし、食中毒のやつなんかもってのほかだし、山道の怪もへたしたら普通に死人出てたよね。人口を減らすため、人を追い出すためのただの嫌がらせだったとしてもやり方が荒っぽすぎる。昔の風習の秘密を守っているうちに、他人を犠牲にすることへの抵抗が薄れていったんだろうか。

・東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」


思ってたより物騒な出だしだと思ったら、思ってたよりファンタジーだった。ナミヤさんと丸光園の不思議な絆。
「悩み相談をしてくる人は本心では決めてて背中を後押ししてほしいだけ」説をよく聞くけどまさにそんな感じだし、大事なことを伏せたまま相談されて逆ギレされても知らんがな!!…っていう、匿名相談のめんどくささを感じた。
印象に残ってるのはビートルズ少年。結果的に両親の退路を断ってしまうことになったけど、あんなふうにネチネチ嫌味言われたらそりゃ愛想尽かしもするし父は大人げなかったよなと…。そもそも夜逃げするまで追い詰められる状況を作った親にも責任はあるんだし少年は悪くないよと言いたい。

・三津田信三「犯罪乱歩幻想」


乱歩そんな読んだことないのにまた乱歩がテーマ(?)の話借りちゃうやつ。こういうの読むたび「早く原作も読まなきゃな」という気持ちになってるのにずっと伸び伸びになってますね…。今回は読んでる途中で気になり過ぎたので「赤い部屋」だけ青空文庫で読みました。
各話は乱歩を取り上げるだけじゃなく、それぞれで筆者の過去ネタや作風を取り入れる感じにしてるのかな?おなじみ刀条シリーズの神戸地方、死相探偵の事務所が入ってるらしきビル、しつこいほど「これを読んだあなたにも障りがあるかもしれない…」と脅してくる実録風、作者本人パロ(?)等々、小ネタが色々あって楽しかったです。でも最後の「影が来る」はやたらSFファンタジー臭がするというかこんな話も書いてたの?気になる。いい加減乱歩ちゃんと読まないとな(一年ぶり十数回目)

・森見登美彦「四畳半神話大系」


有名なので名前だけは聞いたことがあった。実際読んでみるとへ~こんな話だったのか~という感じ。
文章自体ふざけ気味だしほんとに阿呆なことばっかやってるんだけど、真面目に解釈すると「どんな選択を選んでも運命の黒い糸で結ばれている相手も赤い糸で結ばれている相手も変わらないんだから、あの時ああしていれば…なんてクヨクヨするのは無駄なんだよ」って感じでしょうか。ジョニーとの攻防面白かったです。

◆という読書感想文でした。
四月は全然読めなかったから五月いっぱい読みたいなー。

久しぶり10冊感想文

2019.04.11 10:48|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・畠中恵「ちょちょら」

面白かったんだけど読むのに時間がかかってしまった。やっぱちょっと「江戸留守居役」っていう役職が難しいというか感覚的に掴みにくかった。でもこの「誰が味方で誰が敵なのか??」って全然分からないところがまさに新太郎の心境だったのかもしれない…。千穂さんは本当にあれでいいのかなとは思うけど、この時代の武家の娘っていうと結婚も仕事の一つみたいなもんなんだろうな。

・島田荘司「セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴」

エカテリーナに関する歴史の勉強面白かった。ハリウッド~の次作だからかしてクローンの話題がまた出てたけど、「アダムの骨からイブが生まれたなんてまんまクローンのことやん、聖書の内容が違っていればクローンに対する今の倫理観ももっと違っていた」っていう説は興味深かった。

・ジェフリー・ディーヴァー「石の猿」

シリーズの中でこれだけ閉架にあったのは差別描写が多いからなのかな…?チャン家やソニー・リーの攻防も面白かった。ウィリアムはちょっとひねくれてるけど根はいい子ぽいのでこれから幸せにやってってほしい。
ゴーストの正体については意外な人物だったけど、いかんせん「石の猿」が最初にライムの部屋に持ち込まれたきっかけが唐突過ぎたので「ああ、それで…」みたいな感じだった。でもリーが死ぬ間際石の猿を砕いてにやりと笑ったというのは滾った…。自分が死んでもサックスならこれを見つけ出すしライムなら意味が分かると信じたんだな…。
リーのおかげでライムも自分の体を受け入れ、今後手術のことで揉めることもなくなりそうでよかった。

ゴーストの真の目的は、最初の船沈める段階で「えっなんで爆弾??殺すの??殺??え??そういうもんなの??」と私はめちゃ混乱してたので「誰も疑問に思わなかったこと」と言われるとちょっと違和感があった。そういやチャンは安く船に乗せてもらえたとか言ってたなと納得するとこもあったけど。悪い人は何考えてるのか分からん悪い人の世界こえ~…でなんとなく流してたけど「移民や船員は目撃者だから殺す」ってやっぱムリあるよね?密入国成功してもそこから全員捕まらないとは限らないし目撃したってだけなら結局殺すよね??

・風野真知雄「慕情の剣」

女だてらシリーズ五巻。え~小鈴パパついにゲロっちゃうの…ここで吐いたら夫としても父親としてもダメなのに革命家としてもダメになるんじゃないか…?あんま悪く言いたくないけど覚悟が足りないまま危ないとこに手出しちゃったのかなっていう感じ。ここからどうにかしていいとこ見せてほしい。これで小鈴がしょっぴかれたらまじでダメ男やぞ…。

・L.M.モンゴメリー「虹の谷のアン」

七巻。アンの子供たち、というか牧師館の子供たちが中心の話だった。
エレンのめんどくさい約束のおかげで無駄にこじれたけどうまいこといってよかった。自分が口説かれたらやっぱ約束なしでいいよ、とか言い出すのは何だこいつ…ってなったけど、妹が一人で残ると言ったら自分も辞めると言い出すあたりものすごい厄介な頑固者って感じなんだろうか。
牧師館の人々がアンに相談しよう…→ちょうど出掛けてしまって他の人と話すことに、という流れが二回くらいあって今回アンの出番少ないなあと思ってたけど、結果的にこれで二組のカップルがくっついたんだから今作もアンは無自覚にキューピット役をやりとげたということになるんだろうか。

・荻原規子「レッドデータガール3はじめてのお化粧/4夏休みの過ごし方」

面白かったので二冊続けてもりもり読んでしまった。
西の善き魔女でも思ったけどやっぱ正統派少女小説!特別な女の子!って夢があっていいと思います。宗田きょうだい、というか宗田家に今回めちゃめちゃでかい貸しを作ることができたしここから徐々に和泉子&深雪ペアが台頭してくるんだろうか。
RGDが具体的にどんな存在なのかも未だに明らかになってないので気になる。レッドデータブックからそのまま持ってくるなら「絶滅する恐れのある動物の情報をまとめた少女」ってことになるけど、今んとこ憑依体質と人外を見抜く能力くらいしかはっきりしてないし。そのわりに姫神は過去を遡れるっぽいし物騒なこともいうしで簡単に言うと予知能力があるってことなんだろうか?続きもどんどん読みたい。

・中山七里「おやすみラフマニノフ」

さよならドビュッシーが面白かったので借りてみた。話とか犯人の思惑とかは今作も面白かったんだけど、どうも全体的に台詞が芝居がかってるのがちょっと苦手かな…。漫画とかアニメとかにした方が合いそう。

・ジェフリー・ディーヴァー「魔術師」

奇想天外なトリックのおかげでいつもの「誰を信じていいか分からない」状態がさらにパワーアップしてわけわからん状態だった。カーラの手品(特に終盤のやつ)とか本当に訳分からなくて何回も読み直してしまった。全体的に派手で華やかだから映像で観てみたいなあこれ。
バルザックのことは大丈夫だろうと思いつつも疑ってたのでいい師匠として別れられてよかった。門外不出の技を持つ集団はどうしても秘密主義になるんだろうけど、マジシャンは職業柄さらに秘密を極めて師弟関係にのめり込みやすいのかなと思った。そしてカーラの本名は一体何だったんだ…。

・ジェフリー・ディーヴァー「12番目のカード」

誰を信じればいいか分からない…って違うんか~~い!!みたいな話だった。
まあでも父も大変だったんだよね、落書きは軽犯罪を自慢する若者みたいなノリで娘からしたらめっちゃキツいけど頭は良さそうな感じがするというか…。
ナーバスになっちゃったロンとサックスの関係良かったし、デルレイの変装芸はやっぱり見てて楽しくてテンション上がりました。
トマスボイドは「無感覚」のまま死んでいくのかというのは気掛かりではある。捜査をかく乱するために置いただけのはずの「12番目のカード」に足元を救われるというのは間抜けに見えるんだけど、こういう何気なく選んだものに犯人の個性が現れるということなのかもしれない。

◆という読書感想文でした。
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