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ぎりぎり八月の十冊感想文

2018.08.28 19:59|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・有栖川有栖「江神二郎の洞察」


気楽に読める短編集が読みたくて目についたアリスシリーズ借りてみたんだけど、これはちょっとしたサイドストーリーというか補完的な話なのかな…?「マリアの入部までを描く~」とか言われてもそのマリアさんのことを知らないし、「夏の山の事件」は単独で一冊出てそうだし、謎の長老江神さんのこともサッパリ分からなかったし。そろそろ順を追って真面目にシリーズ読むべきかもしれない…。

ミステリ談義とか通にしか分からないような部分もあってニワカ読者としては読み飛ばすとこも多かったんですが、「除夜を歩く」の「トラップ用のトリックが使われていないという保証はない」「作者も登場人物も読者も気付かないものすごいトリックが使われてないとは限らない」という単純かつどうしようもないミステリの罠は興味深かったです。

・荻原規子「西の善き魔女3世界の扉の巻」


バードは2巻の時点で異質だったというか、一人だけSFチックな空気を放っててどーなってんだ?と思ってたらようやく世界の成り立ちが明かされてスッキリしました。童話が禁忌なのは女王制ではないから?と前から一応回答があったけどヤギの話とかは王制関係ないしなるほどなって感じです。童話以外にも「七つまでは神のうち」とか「取り換え子」とかちょくちょく現代と繋がってる部分があるのも、「同じような文化が育った」というより「残ってた」んだな~みたいな。
そんなバードを従えてる女王は何者なんだ?とふぃりえる同様私も不審に思ってたとこだったので、「そういう理由なら言ってくれればよかったのに~~~~」と思っちゃいましたが、まあ実際言えるようなもんじゃないんだろうな…。あなたたちは危険なので知識を求めてはいけません、みたいなそういうこと…。三人の女王がどうやって国をつくっていくのか楽しみ。

過去編(外伝)は正直ちょっとだれてしまった。でもまあこういう濃い過去があるならルーンとフェリエルがここまでがっつり固く結びついてるのも納得です。ただの幼馴染というより、一番多感な時期を過酷な環境で生き抜いた二人の子供って感じだし。

・原田マハ「ジヴェルニーの食卓」


初めて読む人なんだけど美術評論家?の方なんでしたっけ。美術史の裏側にあったひそかな奇跡や悲劇をこっそり覗いていく感じが面白い、というか美しかった。まあマティスとかセザンヌと私は「名前だけ知ってる」程度でどういう功績があってどんな絵を描いた人なのかは全然分かんないので、こういうのはやっぱ美術史に詳しい人が読むとすごい面白いんだろうなと思った。モネ、ピカソ、ゴッホとかも代表作くらいはぱっと浮かぶけど、具体的な時代とか背景はよく知らないしね…。
「うつくしい墓」と「エトワール」が特に好きでした。芸術家は死後評価された人が多いとはよく聞くけど、改めてゴッホやらセザンヌやらの絵が二束三文で買い叩かれタンギー爺さんの画廊みたいな場所があった、と書かれるとすごい時代だなって思います。

・小川洋子「いつも彼らはどこかに」


可愛らしい動物がよりそう感じの話かと思いきや全体的にほの暗い、何かが少しずつ壊れているような雰囲気が漂ってた。最後の「龍の子幼稚園」だけはある意味救いがあるんだけど。この本はずっと家で積んでたんだけど、これでもう小川洋子の作品はエッセイ以外はほぼ読み切った…と思う。これからはもう新刊だけを待つ人生なんだな…。はぁ…。

・島田荘司「異邦の騎士」


先に読んじゃった御手洗潔のダンス?メロディ?か何かで石岡君との出会いの場面がちょろっと書かれてたので、途中からもしかしたらそうだよね?と思いながら読んでた。苗字は益子でなんか違うけどこの後名前変えたのかな?いや~石岡君結婚してたのか~のほほんとしてるけどけっこうハードなことしてたんだね~とかアホなこと考えながらすっかり騙されました…。いやでも石岡君、御手洗シリーズではなんか女に弱い情けない男って感じになってるけど普通に優しくていい人だったね…。

貫井徳郎「殺人症候群」


めっちゃ悲しい…悲しいとしか言えない…。
今までの「症候群」は症候群って言ってもぶっちゃけはっきりした黒幕がいた感じだけど、今回は本当にあちこちで勝手に発生する、悲しく恐ろしく誰にでも起こりうる「症候群」だと思った。
和子はその時々で意志がブレまくってるのであんまり同情できないと思ったし、まともな死に方ができないのもしょうがないと思う。むしろうやむやのままに終わって、子供は何も知らないまま移植を受けることができたのだから良かった方。
でも響子、渉、それから倉持はほんとに悲しい…。市原という正しく「殺人症候群」を患っているような未成年に接触したせいで、自分達もたいして違いはないとようやく悟る響子が悲しい。響子だけは綺麗なまま守りたいと思ってた渉が自分の甘さに気付くのも悲しいし、倉持があっさりと引き返せない領域まで行ってしまったのも本当に悲しい…。

ほぼバッドEDだったけど、「どうして加害者ばかりが守られ、被害者は蔑ろにされるのか」。この課題に現在の法律が応えられない限り、この物語はハッピーEDになりえないんでしょう。

・原田マハ「楽園のカンヴァス」


「ジヴェルニーの食卓」は美術史のささやかな奇跡や裏話を語る短編集という感じだったけど、こっちは美術史の誰も知らない謎を探る冒険譚みたいで面白かった。ダヴィンチコード的な趣があるというか。ダヴィンチコードみたいなアクションはないですが。
まったく絵が分からないのでたびたびぐぐってたんですが、ちょっと検索したらポンと名画が出てくる今の時代はほんまに恵まれてるなと思った。

・乙一「GOTH」


久しぶりにえぐい乙一が読んでみたいな~と思って借りてみたんだけど、なんというかどれもこれも既視感が…。以前読んだことあったのかな~?内容はあんま覚えてないんだけど、「あ、これ犬と見せかけて人間と逆のやつ」とか「この名前出てる方が主人公でしょ」とか重要な仕掛けの方を先に見抜いてしまって(というか思い出して?)あまり楽しめなかった。やっぱり読んだ本はちゃんとメモしておくべきだと思った。

・小川糸「蝶々喃々」


きものと町歩き、おいしい料理や豊かな心の描写は相変わらずすごく好き。
…なんだけどやっぱ不倫がな~~~~~~…。最初から結婚指輪に気付いてるのにアピール開始しちゃう栞にエッ!?ってなりました。自分で料理はしないの、と嘘を吐いたのは男を遠ざける嘘かと思いきや自分からぐいぐい行くので結局どうしたいの?と混乱しました。
春一郎の方もすごく優しくていい人にように描かれているけど、でも結局「不倫してるんでしょ?」と思うと台無し。本当に誠実で優しい人ならきっぱり清算してる。イッセイさんと話してると死んだらお終いなんだからやりたいことやった方がいいんだよ、という流れになるけど、綺麗ごとだと言われようと実際問題そこはちゃんとしないとダメでしょ。実家に家族で里帰りしてる時に不倫相手に自分ちの桃送ってくるとか、栞に「他の男についてっちゃ駄目だよ」というとことかどういう神経してんの?と引いた。

あと雪道君と別れたきっかけには花子が絡んでるみたいだったけど結局どういうことだったの…?雪道君との過去や複雑すぎる家庭の事情やら既に色々訳アリなんだから不倫まで入れなくてよかったんじゃないかなあ。純愛で読みたかった。

・貫井徳郎「壁の男」


タイトルと装丁から物騒な話を予想してたんだけど、ひとりの男の人生についてだーーーっと語る話だった。
なんか最近貫井徳郎=面白いけど後味悪いみたいなイメージが付き始めてたので、綺麗な回想のまま終わったのがちょっと意外。いやかなり重い過去や事件が重なってるんだけど、現在のイカリを知ってるだけに穏やかに見ていられるというか。

いくらトラウマあっても娘放りだして出て行くりえこクソ過ぎない?と思ったけど、最後まで読むとしょうがないかもなと思った。自分の娘でないうえにエミリの母親役としてプロポーズされたようなもんだから、イカリがエミリに必死になったりエミリがもし死んだら自分はまたいらない子になるんじゃないか…とか色々不安だったんだろうな。むしろイカリの方が善人過ぎたんだろうなあ。

◆という十冊感想文でした。
八月前半はまったく読めてなくて「ジヴェルニーの食卓」までは7月に読んでた。
けど中旬くらいからとうらぶでイベ始まったので読書のお供に周回?周回のお供に読書?してる感じです。
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