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ぎりぎり9月の十冊感想文

2018.09.28 20:20|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・荻原規子「西の善き魔女4星の詩の巻」


目次を読んでアデイルが合流するまでの砂漠の冒険編が始まった時は、「えっまさか本編は三巻で終わってたの!?こっからずっと過去!!?」と思ったけど外伝3でようやく話が進んでよかった。
アデイル編も持ち前の処世術でどんどん味方を作り戦うところが面白かったです。女王制の話だからってのもあるけど、西の善き魔女はホント女性が強い。アデイルがヴィンセントを迎えに行って告白するシーン良かったな~~。そしてここにきてティガ×アデイルもいいじゃん…亡国の王子と大国の女王いいやん…と思ったけどユーシスがいるので駄目ですね、残念。

外伝3ではとりあえずフィーリはやっつけたけど「俺達の戦いはこれからだ!」的なEDだった。まあ国の行く末に関してはそれで別にいいと思うんですが、ディー博士のことだけはちゃんとしてほしかったな~。
あとルーンが亡国の王子ってのはさすがに盛りすぎだと思った…。まあ少女小説だからこれくらい夢いっぱいでもいいのかもしれないけど、それならそれでもうちょっとキリのいいとこまで進めてほしかったな。ルーンもティガも兄弟なんかいない、今一緒にいる人たちが大切な家族みたいなスタンスでさっぱり割り切ってるけど、こっちは知ってるぶんもうちょっとなんとかしてほしかった。ティガはともかくルーンの王子設定は箔付けくらいしか役割なくない?フェリエルとの関係が神話の母息子と被ると逆に気持ち悪くなるし。
面白かったけど最後はちょっと消化不良でした。まだこれから先続く予定あったのかな?と思ってしまうくらいには。

・風野真知雄「馬喰町妖獣殺人事件」


謎でもなんでもないヤケクソみたいな謎と、その影で人知れず消えていく関係者が不気味で面白かった。最後のおたえの台詞が切ない。
そして坂巻さん、なんかすっかり次の女探してるみたいですがおゆうのことはもう終わった話になっちゃったんですかね…?前はちょくちょく探しに行かなきゃ…でも忙しくて行く暇が…みたいなこと言ってたけどもう完全に金魚と所帯持つことになってど~なってんの~~~!
続きが気になるんだけど地元の図書館にはこの巻までしかないんですよね…。購入も検討してるけど現時点で積み本あるので機会があれば、ってことにしときます。

・村山早紀「コンビニたそがれ堂セレクション」


装丁が素敵だったのと不思議なお店系の話が好きなので借りてみた。
内容はこれでもかというほど優しくてあたたかい。最後の話に出てくる若い女医さんは別の本に出てくる人なのかな?

・篠田秀幸「死霊の誘拐」


薄い会話と無駄に個性の強い子供はこの人の作風だとしても、久美子があまりにもバカすぎる&夫があまりにも臭すぎて途中で挫折しそうだった。短いのでかっ飛ばしながら一時間くらいで読了。

まず女側が結婚してる状態での不倫ってのが一番共感できないし、いくら夫のせいだ子供がいるからだと言い張っても、結局久美子も世間体気にして別れられないだけでしょとしか思えない。手に職あるから経済的には自立できるし、協議離婚したという実例もすぐ隣にいるんだから。子供が可哀そうで離婚できないというなら、発作持ちの子供を放置して不倫相手と遊ぶのは可哀そうじゃないの?
大事な人のために死体の隠ぺいを手伝おう、という気持ちはまあ分かるんだけど、あんなにがっつり警察に捕まって名前も確認されたらもう観念しようかと思わんかね男も?夫に病院に居なかったことが完全にバレている、と把握してる状態で高速の領収書を指摘されたら「馬鹿なこと言わないで私は病院にいたのよ!!」と言い張るのも意味不明過ぎる。馬鹿なこと言ってるのは久美子では…?もはや錯乱してたからというレベルじゃない。

夫も夫で子供がいなくなった時点で誘拐とほぼ断定してサクサク指示してくるのが手際よすぎ&いきなり頼りがいがあってデキる男になりすぎ。あまりにもテンプレ「有能夫」すぎてくせーなと思ったら、国語教師から作家という経歴、というか下の名前が作者と一緒でもうね…。あんまり言いたくないけどこういう作品の割りにエロ描写が多く、久美子がやたら性欲旺盛なのもそういうことなんだろうなあと白けてしまった。作者がこれを有能夫として描こうとしてるならどうかと思う。
そしてこんなにも露骨に怪しい夫を毛ほども疑わない久美子に更に共感できなくなる。パスワードのくだりとか笑うしかなかった。
何故か「読みたい本リスト」に入ってたので借りてみたけど、どこでこんな本を知ったのか不思議。全体のノリは「リアル鬼ごっこ」にかなり近いと思った。

・高木彬光「人形はなぜ殺される」


インパクトのあるタイトルにひかれて借りてみたんだけど、シリーズものの一部だったらしい。
だからもともとこういう作風なのかたまたまこの作品が難事件だったのか知らないけど、探偵の神津さんに対する「本来はものすごく有能なのだが、(いろいろな事情で)今回ばかりは後手に回ってしまった。」みたいな描写が多くてちょっとダレた。あと回想調でこのあと死人が出ることを先に言われまくるのでああまた出し抜かれるんだな、と冷めた目で見てしまう。物語の探偵は死人が出てから活躍する、探偵は死神と似たようなもん、みたいな皮肉があるけどまさにその通りだと思った。

というか杉浦と中谷の方が先に真相に辿り着いてるし、最後の種明かしパートはほぼずっと杉浦の暗号と中谷のアドバイスを元にした推理だったし…。水谷にもバカにされて終わるし、作中で言われるほど神津が天才に見えないのが残念だった。というより魔術師協会の面々が有能すぎるのか。冒頭で中谷と火花バチバチしてた気がするけど完全に神津の負け。不気味な殺人事件とトリック自体は面白かったです。

・森見登美彦「新釈走れメロス」


そろそろ文学読みたいけどハードルが高い!…と思ってたので入門になりそうなやつを借りてみた。
時代と舞台を今風に書き直しただけでなく流れも大幅に変わってるので、新釈というよりモチーフにした作品、くらいのが近いかもしれない…?歌野晶午の「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」みたいな感じ。
ちょっと古風な文体だけど読みやすかったのでこの人の別の作品も読んでみたくなったし、元ネタも読んでみたくなりました。表題作の「走れメロス」が特にぶっ飛んでて面白かった。

芽野はいわゆる阿呆学生である。汚い下宿で惰眠をむさぼり、落第を重ねて暮らしてきた。しかし厄介なことに、邪悪に対しては人一倍敏感であった。

もうこの入りから吹いた。ホンマ厄介以外の何物でもない。

・川上弘美「どこから行っても遠い町」


タイトルからなんかふわふわした幻想的なイメージを抱いてたけど、生々しくも小ざっぱりした男女の話が中心だった。現実的のようで非現実的のような、薄い膜を通してみてるような、ある意味「ふわふわ」というのは共通してるのかもしれない。
(だいたい)同じ町を舞台にしてるため登場人物がちらほら被ってはいたけど基本的に短編集って感じだったので、次は長編も読んでみたいな。

・有栖川有栖「高原のフーダニット」


サクッと読める短編集が読みたくて借りてみた。
「夢十夜」はそれ一本では話作れない程度の小ネタSS詰め合わせって感じだったんだろうか。

・村上春樹「中国行きのスロウ・ボート」


村上春樹は大昔に一度読んで「よく分からない。」という感想のままご無沙汰だったんだけど、小川洋子の「注文の多い注文書」でこの短編集の「貧乏な叔母さんの話」が取り上げられてたので借りてみました。
全部読んでみるとやっぱり「よくわからない」という感想になりましたが、このふわふわした感じやちょっとした表現が心地良くも感じたので、こういうふうに楽しめばいいんだろうか…?個人的に小川洋子も長編より短編の方が読みやすいので、村上春樹も短編からちょくちょく読んでいこうと思います。有名なのは長編ばかりなので短編がどれくらいあるのか知らないですけど。

・原田マハ「サロメ」


例によって芸術は何もわからない(かと言って他の何かに精通している訳でもない)ので理解できるか不安でしたが、面白くって一気に読んでしまった~。週末じっくり読もうと思ってたのに…。この話は美術史の謎云々というより姉弟の物語で、知識がなくても普通に読めたことが大きい。
なんか最初メイベルはさっさと出世してしまうオーブリーの方に嫉妬してるのかと思ったけど、この話は最初からとことん「禁忌」の物語だったんですね…。メイベルとオーブリー、二人合わせて「サロメ」だったというぞくぞくする物語でした。
いやまあ陰で暗躍して色々やってたのはメイベルだけだしすごい性悪なんだけど、個人的にはオーブリーももうちょっと支えてくれた母と姉を顧みてやれやと思ったな。芸術家というのはえてしてこんなもんかもしれないし、自業自得とまでは言わないけど。

◆という読書感想文でした。
前から予約してる本が予約待ち@1の状態になってもう一か月経つんですが前の人はよ返してくれやー!!
もうちょっと待っても来なかったら予約システムがバグってることも考えて図書館の人に言ってみようと思います…。
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