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十月早々読書感想文

2018.10.08 14:04|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・村田沙耶香「殺人出産」


十人産めば一人殺す権利がもらえるという凄まじい設定にひかれて借りてみた。
どの話も近未来のぶっ飛んだシステム・流行について語られてて、おぞましいと思う一方「百年経てば価値観なんて変わる」と言われると納得してしまう部分もある…。特に死刑囚は男だろうと人工子宮を付けて産ませ続ける「産刑」というのはめちゃめちゃグロいけど単純に殺すよりよほど合理的と言われたらその通りだなと思った。人権やら倫理観やら皆無な法律だけど、人の掲げる正義なんてその時々で簡単に変わるというのは歴史が証明してますからね…。いやーーでも怖いしこんな未来は嫌だな!!とすごく思いました!!

・百田尚樹「夢を売る男」


自費出版詐欺を仕掛ける側、引っかかる側の物語。さすがに今はもうこの手の詐欺は難しいと思うけど、普通の出版社やプロ作家の思ってたより厳しい実情も語られててそのへんも興味深かった。
小説家なんてプロでもアマでも一冊本を書きあげる時点でまともじゃない、みんな自己顕示欲の塊だ、みたいな主張はけっこう分かる部分があってちょっと笑ってしまった。
実在/架空かかわらず何人かの作家名が出てたけど、「百田某」について「(毎回作風が違いすぎて固定客逃がすの)馬鹿ですね」「じきに消える作家だ」と自虐してたのも面白かった。たしかに私もこの人の話は三作しか読んでないけど、整形に狂う女の人生をえげつなく描いた「モンスター」に比べて「フォルトゥナの瞳」がものすごいピュアな現代ファンタジーでびっくりした記憶があります。この作品も徹頭徹尾ブラックにやっていくのかと思いきや最後にちょっといい話になるし。

・原田マハ「まぐだら屋のマリア」


今回は美術史じゃなく料理と救済の物語だった。こんな場所行ってみたい…いや私はシモンみたいな料理スキルないからマルコみたいに居候するしかできないけど…。
老舗料亭の腐敗ってのは残飯の使い回しとかまで行くと明確にアウトなのでさすがに稀だろうけど、上司の命令で社長の家に紅葉を取りに行く→社長夫人に見つかって解雇みたいな理不尽は現実でもすっごいある感じでいや~な気持ちになりました…。というか個人的に飾りの紅葉を身内から調達するっていうせせこましい節約術はけっこう好きなんですが、そのくせ見習いの賄いは食べずに捨てるみたいな噛み合わないプライドの高さがクソだなと思いました。使い回しの料理や賞味期限切れた食材を賄いに回せばいいやん…。

・綾辻行人「どんどん橋、落ちた」


有名な人なのにほぼ館シリーズしか読んでないので借りてみた。読者参加型…っていうのか?しっかり手掛かりは与えるから読者も謎を解いてみろよ、というタイプの作品は時々あるけどそれ専用の短編集。もちろん私は分かるはずがないので普通に回答編読んでました。どんどん橋とぼうぼう森の動物奇想天外トリックはけっこう好きです。「フェラーリは見ていた」の身も蓋もないオチもけっこう好き。「伊園家の崩壊」は最初はちょっとクスッと笑ったもののあまりにもブラックすぎて「大丈夫??これサ〇エさんに怒られない?」と思ってしまった。いやでも最初に「既存の作品とは関係ない」って書いてますもんね…。サ〇エさんになんか似てるなって思ったのは私の誤解ですね、そうですね…。

・村上春樹「夜のくもざる」


村上春樹短編集から読んでいく作戦第二弾。短めでイラストも多かったのでさらっと読めてしまった。相変わらず「意味が分からない。」っていうのが大半だったけど色々発想がぶっ飛んでてところどころちょっと笑った。一番笑ったのは「オガミドリ」さんの「にっちよおおおおびくれえ」ってところです。すごいよく分かるその発音。

・畠中恵「こいわすれ」


久しぶりの畠中恵。…なんだけどえええ~~~~まじで???っていう悲しい展開でした…しゃばけシリーズより酷なとこあるよねこっちは…。
普通におすずといい夫婦になってったのに…。あまりにも呆気なく逝ってしまって、次の「こいわすれ」が始まっても悲しみを引きずってしばらく呆然としてましたよ…。まだこっちはおすずの死を飲み込めてないのに、作中では容赦なく時が過ぎていくこの取り残された感じがすごい麻之介とリンクしてた…。
え~~~続き気になる…麻之介にちゃんと幸せになってほしい…でもここからおゆうとヨリを戻すみたいな展開にはなってほしくないなあ。まだおこのの方がいい。この時代これくらいの歳の差ならセーフだろうし。

・百田尚樹「カエルの楽園」


どこかの国を彷彿させるようなカエルの国の物語。カエルには弱肉強食というシンプルかつ残酷な自然界のルールがあるだけに、より分かりやすくエグかった。

・有栖川有栖「火村英生に捧げる犯罪」


気楽に読める短編集でした。

・原田マハ「本日は、お日柄もよく」


最初の結婚式のスピーチは感動したんだけど、こと葉が仕事やめて本格的に政治の話になってからはかなり飛ばして読みました。
作者は政治についてあれこれ言いたいんじゃなく、スピーチという題材を生かすには政治がもっとも効果的と判断して舞台に選んだんでしょうけど、やっぱ現実の政党と被りまくって生々しい。素直に感動できない。
それに加えてとにかく上手に話すこと、スピーチの重要性に焦点をあててるので、実際の中身はどうでもいいのかなと思ってしまう。私もそんな政治に関心あるタイプじゃないから偉そうなこと言えないけど、若い女の子が「スピーチを学ぶために」で久美さんの話だけ聞いてどんどん特定の政党に肩入れするのどうなのと思ったし、「まっすぐ」を連呼しながらあつし君を複数人で囲んで勧誘するところとか洗脳かよこわ…って思いました。現実に近いぶん全部綺麗事に聞こえてしまうし、もし久美が敵対陣営と縁があったらこと葉も絶対一緒にそっちの政党についてって原稿書くでしょ…。あと最初のがんの話もそうだけど、嫁の死産の話とかお涙頂戴かよと思って萎えてしまった。
あつしくんも立候補するのはいいけど嫁が妊娠した直後の大変な時はやめたれよ…って思いました。「こいわすれ」を読んだ直後だったから余計にそう感じたんでしょうけど。

・L.M.モンゴメリー「赤毛のアン」掛川恭子訳


赤毛のアンは色んな出版社が色んな人の訳で出してますが、私が読んだのは講談社の掛川恭子訳、「完訳クラシック赤毛のアン」の一巻。
言わずと知れた超有名作品ですがちゃんと読んだことはなかった。興味が出る子供くらいのころに読むには「海外の少女小説?」って苦手意識があったし、大人になると「今更少女小説ってのも…」ってなってタイミングを逃しがちだったというか…。でも最近「西の善き魔女」とか普通に楽しく読んでたし別に全然読めばいいじゃんと思って借りてみた。あと以前読んだ貫井徳郎の「新月譚」、柚木麻子の「本屋さんのダイアナ」で赤毛のアンがめちゃめちゃ推されてたってのもある。

海外小説得意じゃないので読めるか不安だったけど普通に楽しかった~。風景の描写はもちろんなんだけど、アンという少女が本当に実在しているように生き生きしてた。アンみたいに素直に思ったことを口にできる子、喜びを伝えられる子ってすごくいいなと改めて思いました。マシューもマリラもこれ言われたらめっちゃ嬉しいだろうな!!っていう殺し文句が満載で。こういうのを読むと、もっと子供のころに読んでおけば私ももうちょっと素直になれたのかなぁ…って思っちゃいますね…。私はマリラみたいに頑なになってうまく言えないから…。

このシリーズは全十巻らしいのでこの先も少しずつ読んでいくのを楽しみにしてます。というか巻末のシリーズ紹介読むとギルバートと結婚するんだ…えっ子供そんなに大きくなるまで続くんだ…とかネタバレ踏んでますが楽しみにしておきます。いや世間ではこのくらいのことは常識なのかもしれないけど私はまじで赤毛のアン=お転婆な赤毛の少女の話くらいしか知らなかったんで…。

◆という読書感想文でした。
大阪城周回してると読書が捗りまくる~。
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