最近の読書感想文

2017.02.06 18:13|読書感想文
今回は伊坂幸太郎、宮部みゆき、米澤穂信、貴志祐介オンリーです。
例によって◎ネタバレ注意◎で~す。

・伊坂幸太郎「残り全部バケーション」


ふざけたタイトルだなと思ってたら一行目からふざけてて、話の内容もふざけまくってて、「なんだこれwww」と笑いながら読んでたら最後には意外にも熱い展開。ミッゾー、おまえ・・・
いい加減なノリのふざけた話をサクッと読みたい人にはいいんじゃないでしょうか。

・伊坂幸太郎「夜の国のクーパー」


伊坂さんには珍しい完全ファンタジー。
けどネーミングが医者の「医医尾(イイオ)」、ふとっちょの「丸壺(マルコ)」、勇敢で豪胆な「号豪(ゴウゴウ)」、野菜売りの夫婦「奈呂(ナロ)と奈々(ナナ)などなどヒジョーに分かりやすくて、一気に登場しても名前を覚えられなくて混乱する、ってことがありませんでした。
そしてこの話はとにかくトム君がかわいい…!7割が猫視点なので、猫のちょっとした動作の一つ一つが可愛くてしょーがなかったです。虫捕まえて「僕がやったんだぜ!」って前足シュッシュッってやってみせるところとかさ…。

「クーパーの戦士」については、ネズミとの交渉の時点でイヤーな感じしてたけど案の定って感じでした。やってる内容は生贄と変わらないし、生贄に対して「名誉なことだから」と言い聞かせるのもよくある話ですからね…。ネズミは人間と似てる、って話もあったしあーねって感じ。
オチについては「そうきたかーw」でした。確かにちょっと引っかかるとこはありました。馬が数日逃げ回った距離を主人公が徒歩二日で戻ったり、トム君が主人公の「胸ポケットあたりで丸くなっていた」とかって描写がね。胸のあたりで抱っこしてたのかな?と思ったけど、まさに文字通りの意味らしかった。

終盤で「実は人間にも猫の声が聞こえてたりしてね」「まさか」と意味深なやり取りがありましたが、これはどうなんでしょうね~。
実は一か所だけ、鉄国の兵士が殺された朝のやり取りで、猫と人間が普通に喋ってるようなシーンがあったんですよね。あれ?喋ってないこれ?って思ったけど、これはカッコの具合でたまたまそれっぽく見えてるだけで実は違うんでしょうか。
でもこの作品はたびたび「今までの常識を疑え」「できないと思ってたことでもやってみろ」と主張しているので、実は無害で騙されてたばかりの夜の国の人間たちも、猫の声は聞こえないことにしよう…と裏で示し合せてる可能性も無きにしも非ず…なのかな?まあそのへんはご自由に妄想してねってことでしょう。
終盤の複眼隊長と戦士達の覚悟は熱かったです。帰ろう。できないと諦めてたことでもやってみよう。

・米澤穂信「犬はどこだ」


ゆるい感じの探偵ものとして面白かったです。ハンペーサイドでも桐子の名前が出てきた時は、「わああああ!!別の事件担当してても情報は共有しようよおおおお!!でもこの二人ならムリか!!ムリだな!!!」とヒジョーにヤキモキさせられました。
きっといいコンビになるだろうし、今後もこの二人でゆるいやり取りしながら探偵&部下として成長してほしいものですが、このオチだと続編は厳しいんでしょうね~。このぞっとするオチはけっこう好きですけどね。クソリプネットストーカーなんて死んじまえばいいって思うんで。リプじゃなくコメだけど、蟷螂のイチャモンがまじでよくネタにされるクソリプ不謹慎厨のお手本で笑っちゃいましたよ。よく研究されてますね。

…というか、GENは結局誰だったんでしょう。キレ者で行動力もある重要キャラで、機種依存文字が使えないマックユーザーとかってアピールもあったから、何かしら絡んでくると思ってたんですが、あれは本当に「ただの親身になってくれるネット友達」ってだけなんでしょうか。まあネットだけの繋がりでも、親友と思えるくらい仲良くなれることってありますけど。GENが実は犯人、実は身内、みたいな衝撃的なオチは流れ的になさそうだなと思ってましたが、何もないとそれはそれで拍子抜けというワガママ。
GENが誰だったか気になる、というよりかは、親身になってくれるGENを一目見たかった、という方が近いかも。これも続編とかあればもっとGENとの絡みあったのかもな~。

・宮部みゆき「魔術はささやく」


あ~、この時期サブリミナル効果とか催眠術とか流行ったんだろうな~という、時代を感じさせる話でした。
今の時代にこういうトリックを大真面目に使うと叩かれそうですが、「こういう理由があるからできました」、と最低限の説明があるので私はアリだと思ってます。ファンタジー小説と一緒。デスノートで「死神のノートに名前を書いたから死にました、何故なら死神のノートはそういうものだからです」というのと一緒。得体の知れない不気味さが楽しめたのでまあいいかなと。
とりあえず主人公の守が色々有能でかっこよかったです。鍵開け技術もそうだけど、年上にからかわれた時のシニカルな切り返しが「お前何歳だよ!?www」って感じでかっこよすぎて笑えるんですよね。つらい境遇にあっても卑屈にならず、いじめられっこに甘んじず、不当な疑いにはガンガン言い返すし時には抗議してみせる、時にはこちらから器を計ってやる、という姿勢がかっこよすぎました。「開けられるのは自転車の鍵だけだと思うなよ」にしびれた。

・米澤穂信「インシテミル」


怪しい金額の求人情報につられて怪しげな趣味の悪い地下洋館に集められてデスゲームの気配、と、序盤はとにかく「いかにも」の集合体で正直ちょっと退屈でした。こういっちゃなんだけど一人目が死に、連鎖的に次の殺人がどんどん起こり人が減り始めてからようやく楽しくなってきた。
主人公は能天気だけどほどほどに頭がよく、しかしキレ過ぎず、須和名の言葉を借りるなら「弁えている」ので好感が持てました。
須和名は最初から怪しさMAXで警戒してましたが、時折お嬢様天然ちゃんぽくなるので「氷菓」のえるたそみたいな無害なキャラなのかな?と思いきややっぱりえるたそ程純真ではなかった。
主人公が金額の計算を始めた時はアリバイとかトリックとか全部ぶっ飛ばして「須和名だー!!!」って思ってしまうくらいには警戒してたので、犯人は意外でした。つーか「一本」てどんなに大きくても一億までだと思ってたけど十億て。須和名は一体いくら滞ってんだ…。
相棒ポジと思ってた安東が想像以上に小物だったのはガッカリしたけど、こういう「優位に立ってると思ってる時だけ余裕がある人」っているよなあとしみじみ思えるキャラでもあった。
「ランダムメモ」はミステリー要素たっぷりで、元ネタや出典を把握してたらもっと楽しめたんだろうなあとちょっと切なくなった。まさにミステリー好きのためのミステリー。この人の話はいっつも色んな本が出てくるのでちくいち調べて読みたくなってしまう…。

・宮部みゆき「理由」


既に起こった事件に対してインタビュー形式で迫っていくスタイルにはあまりいい思い出がないし、特に序盤はマンションの説明とか競売の講釈とかが長くてちょっとダレてました。
けどちゃんと犯人、真相にどんどん近づいていくのは面白かった。
でも主流の「今起こってる事件に主人公がリアルタイムで巻き込まれていくのを追っていくタイプ」ではなく、こういう「事件がすべて終わった後で真相に迫るタイプ」の作品は、「もう分かってんならはよオチを教えてくれや!!!」とどんどんじれったくなるんですよね。特に今回は事件どころか解決までした後でのインタビュー形式なので、じれったさMAXでした。そしてそこで明かされた真相は今までの流れから特にひっくり返ることもなく順当なので、オチに関してはほぉ~ん。。。という感じ。
ただインタビュー形式という形を取ることで、一見うまくやってるように見える家族であってもお互い思ってることはバラバラだとか、同じものでも自分と他人では見え方が全然違うとか、そういうことを言いたかったのかなあ…。
家族という血に縛られ、そこから解き放たれたいと思っても、世の中にはいくらでも枷なんかあるんやで、家族さえいなければ~なんてのは幻想やで、とも見えるかな。

・米澤穂信「さよなら妖精」


ユーゴスラヴィアの地理と歴史のお勉強。
マーヤとの日常パートは、「日常のちょっとした謎解き」という感じで「氷菓」に似てるなと思ってました。
最終的な謎は「マーヤが会話の中に出したヒントから、彼女がどこ出身か突き止める」というものなんだけれども、私はユーゴスラヴィアの話は話半分で流していたので、解決パートにはあまり爽快さは感じなかったかな。私が悪いんですけれども。
しかし「ここではないどこかに行きたい」という主人公の熱意と若さ、甘さはよく分かるので、マーヤとの最後の会話やまちとの会話はほんのりと切なかったです。
現実はそこまでドラマティックでもなく、人の死とはかくも呆気ないもの。

・貴志祐介「硝子のハンマー」「狐火の家」「鍵のかかった部屋」
  

防犯探偵シリーズ。
最初はシリーズものと知らなくて「狐火」から読んでしまい、その後「硝子」→「鍵」の順で三作読み終えました。
けど読んでみた感じ、中~短編集の「狐火」「鍵の」の方がかなり読みやすかったかな。「硝子」から読んでたらシリーズ避けてたかもしんない。
というのも、さっきも書いたけど「主人公がリアルタイムで事件に巻き込まれていく」タイプではなく、この手の「既に起った事件の謎を解明する」タイプは、「もうオチ分かってんならさっさと教えてくれよ!!」とじれったくなるんですよね。
この作品の場合純子が的外れな指摘をして、即座に榎本が「それはあり得ませんね。(以下日本の防犯事情や鍵の仕組みなどの蘊蓄を交えた否定)」というパターンが確立されてるので、ハイハイ分かりましたどうせ違うんですよね、とたびたび読み飛ばしたくなります。
「狐」「鍵」は短編サイズだからすぐにオチを教えてくれるので楽しめるんですが、長編の「硝子」でこれを何回もやられるとけっこうかったるかったです。このシリーズは一話解決型連続ドラマみたいな短編の方が楽しいと思う。
短編の方の事件はおおむね楽しめたけど、榎本が到着していない&身近なスリルがある蜘蛛の話が好きかな。犯人目線の「歪んだ箱」も好き。
でも一番好きなのは二つの短編集の最後についてる劇団シリーズです。人が死んでるっていうのにトコトンアホくさいギャグが繰り広げられるので、苦手な人は苦手かもしれませんが、私は大好きですねこういうノリ。深夜帯のおふざけ30分探偵ドラマみたいなノリだと思います。

◆最後に(独断と偏見による)最近率先して読んでる作家さんを見て「この人この話すきやな~」と思った題材、印象
貴志祐介→ゼロサムゲーム、心理学(心理テスト)、虫、囲碁
宮部みゆき→バブル時の土地の権利問題や借金問題
米澤穂信→読書大好き

・宮部みゆきさんはまだ数冊しか読んでないし時代物からファンタジーまで幅広く書く人ですが、今まで読んだ現代ものはどれも土地問題や借金の話に突っ込むor直接関係なくても軽く出てくる感じでした。けど土地の話題が得意というより、当時の問題や話題を反映した作品を書いてるのかな~という印象もあります。まだ古い時代の作品数冊しか読んでないんで分かったこと言えないですけどね。

・小説家に「読書大好き」ってのはデフォルトだろと言われたらそうだし、作品の冒頭や作中で他作品の一文を引用する人は多いですが、米澤穂信さんは単なる決め台詞、演出としての引用を越えて他作品の名前を出してくる印象あります。
あ~ほんまに好きなんやな~という感じがして、この人の本で出てきた他作品はメモってます。まあ結局難しくて読めない(と思う)んですが…。

・貴志祐介さんは何かの話で(「黒い家」だったかな?)「虫魚の学=退屈でつまらない学問」と紹介してましたが、こんだけ小説に虫ネタ盛り込めるならどんな知識でも捨てたもんじゃないなと思いました。どんな知識でも生かせる。そう、小説家ならね。

◆という読書記録でした。
ゲームするする詐欺でスイマセン。
しかしまた地元の図書館で特別貸し出し期間が始まるので、この機会にどっさり借りて、だらだら読みながら楽器集めに励もうと思います。
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(2013.5.21-)

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