10冊感想文

2017.03.06 19:29|読書感想文
ネタバレ注意。

・三津田信三「水魑の如き沈むもの」

名前だけ教えてもらって閉架から申請したので、シリーズもののどの位置の当たるかよく分かってませんでした。この作品は五番目でしたが、途中から読んでもまったく問題ありませんでした。普通に面白かったです。こういう土着宗教オカルトミステリーって大好きなので、このシリーズどんどん読んでいきたい。けど地元の図書館ではシリーズ揃ってないうえあるぶんは全部閉架に入れられててちょっと借りにくいなあ。月1でリクエストできるそうだからやってみるか…。

・伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」

アンソロ「ストーリーセラー」に「首折り男の周辺」が寄稿されてたので、あの話に続きや掘り下げがあるのかなと思って借りてみた。
確かに多少首折り男の話はあったけれど、これは「泥棒のための協奏曲」に改題すべきではないか。伊坂さんほんっと黒澤さん好きですね。まだ読書離れしてなかった頃、複数の本に黒澤さんがたびたび出てきて、当時も「相当黒澤を気に入ってんだな」と思った記憶があります。あとがきで「最初は首折り男から始まり、黒澤にバトンタッチ、最後にもう一度首折り男がチラリと顔を出す」みたいに説明してましたが、そういった繋がりは正直感じられなかった…。単純に黒澤が好きなんだなと…。

お話はどれもご都合主義もりもりのハッピーEDなんだけれども、いやぁ~私はこういうの好きです。「僕の舟」とか好きだなー。
クワガタの話なんかはご都合というよりSFちっくでさえありますが、(というか塾の子の話は作中作なのでご都合で当然なんですが)、それでも「いいな」と思ってしまうのは、結局「多少ご都合でも悪者が痛い目を見てほしい、良い人は救われてほしい」という思いがあるからだろうな。合コンの話で元カレが元カノに「おしぼりを向ける」とこも好きでした。元カノの反応も。

・富樫倫太郎「土方歳三」
 
たまたま上下巻揃ってるのを見つけたので、久しぶりに新選組の本読んでみた。
幼少期から薬売り時代、新選組結成、函館までをざーっとなぞっていく話で、沖田や近藤などの出てくる人物像もものすごくスタンダード。ざっと流れを確認するのにはいいのかもしれないけど、個人的にはちょっと歴史のお勉強部分が多くて退屈だったかな…。特に下巻は。
尺が足りないのかとにかく説明パートが多いため、それ以外の描写が弱く、感動するべきシーンなんかもあっさりになって味気ない感じ。「普段は早送りで重要なシーンだけ倍速で観る」、みたいな感じで泣くに泣けない。それくらいあっさり。
事前に知識を持ってない人だと山南さん脱走や平助のあれやこれや、永倉さんや原田さんと袂を分かつシーンとか見ても「なんかモブが退場した」くらいにしか思わなさそう。
序盤の試し切りイベで兼さん、堀川君、安定の名前が出てきたうえ、兼さんを振って「この刀が斬ってくれた」「いつかこんな刀を持てるようになりたい」ってなるエピソードはニヤけたけど、刀の話もそれっきりだったしな…。刀を購入するようなイベも刀の名前を言うようなイベもなく、今思うとこのイベ(というかモノローグ)必要だったんかと思わんでもない。
沖田君がそこまで腹黒くなくピュアめなので、沖田君と土方さんのやり取りが好きな人は多少は楽しめるのかもしれない。近藤さんとの信頼関係より沖田君との仲良しパートのが多い。個人的には伊庭さんががっつり絡んでくる新選組ものをあんまり見たことなかったので、そこんとこは楽しかった。

・貴志祐介「天使の囀り」

本っ当に気持ち悪かった!得体の知れない不気味さが面白かった!これ褒め言葉です!
めちゃめちゃ気持ち悪いけど、主人公の早苗がシッカリしてて情報集めるのもうまいので、そのへんに関してはストレスフリー。しかし本当に気持ち悪かった!依田も感染してんじゃないか?とかなり早い段階から不安にさせられるし、そこから自動的にいつ早苗が感染するのかヒヤヒヤさせられた。病の少年が最後に聞いたのは「天使の囀り」ではなく家族の声だった、というオチも切なくて素敵でした。
でも本当に気持ち悪かった。これ褒め言葉ですよ。こわ気持ち悪面白かったです。

・宮部みゆき「模倣犯」

長かったッ!!
最近集中力が欠けてたせいもあって読むのに2~3週間かかり、それもサブキャラのエピソードは流し見してたとこも多かったです…。
この「物語の上ではたいして重要じゃないキャラのエピソードもきっちり描く」というのは、有馬がラストで犯人に言い聞かせていた「『大衆』なんかどこにもいない。いるのは個人、一人一人だ」ってことの裏付けになってるんだろうなと思いつつも、読んでる間はかなりすっ飛ばさせてもらいました…申し訳ない。個人的にはサブキャラ周辺のエピがとにかく多くて、肝心の真犯人が臭ってくる&やっつけるパートが駆け足で終わってしまったことが物足りなかったかな。

あとこの作品では分かりやすい悪役として犯人の二人&樋口めぐみがいるけど、個人的にはメイン主役陣営の滋子もいまいち気に食わんかった…。ラストの公開処刑はGJだったけどさ…。
まあライターなんてそんなもんだし、ライターの中ではマトモな方なんでしょうけどね。でも結局自分の意見を世間に知らしめて「でっかいことしたい」と思うのはライターのサガなんだなというか…。
序盤で真一君の痛ましい過去が描写されてるだけあって、シゲ子が真一に会いに行くとなった時は「えぇ…そっとしといたりなよ…」って思いました。結局自分の記事が注目されるのが嬉しいだけなんでしょ、と思うとその後の活動も一貫して良い印象はなかった。
それ以外でエッってなったのは、(兄が凶悪犯として死亡し父は倒れ母は心を病んで抜け殻状態で自分もボロボロの)由美子と待ち合わせする時、「目印にクマのワッペンが付いたセーター着ていくわね。クリスマスプレゼントに旦那がくれたんだけどこんなオバさんには着れないって取っておいたものなんだけどこんな時に役立つことあるのね~~」とか言ったことですね…。これで冗談言ってるつもりなんだからすごい…家族が崩壊してボロボロの子に対して幸せの象徴「旦那からのクリスマスプレゼント」とかよく言えるよなあ。見事な自虐風自慢でした。でもこれくらい無神経でなければライターなんてできないのかもしれない…。それ以外でもちょくちょく「ええ…」っていうポイントあったし…。

真犯人が臭くなり本性がバレるところなんかは本当にもうちょい見せて欲しかった。ちょいちょい浅はかで子供っぽい部分は見せてはいたけど、終盤一気に崩れ過ぎたというか。過去もさらっと流れちゃったし、単なる駒であるヒロミの方がよっぽど丁寧だった。ヒロミパートはやたら長い割に結末見えてるのがまたちょっと退屈でしたね…。だからこそもうちょいピースパートが見たかった…。

あと全員気持ち良くハッピーEDなんてありえないけど、高井家は30まで育てた息子が凶悪犯扱いで死亡、バッシングを受けて心を病んだ妹も真犯人に自殺に仕向けられ、二人とも独身だから悲しみを分かち合えるような相手もいないしホント悲惨だなと思いました。汚名は雪がれたとは言えお店には戻れないだろうし、店のローン残ってるんじゃなかったっけ…。
とりあえず真一君はかっこよかったし乗り越えられて良かったねと思ったので、次は有馬じいちゃんを支えてやってください。

・湊かなえ「贖罪」

湊かなえらしいエグさてんこ盛りの話だった。
個人的には真紀(教師パート)が好きかな。「告白」もそうだったけど、理不尽に責められる教師が公の場でドヤ顔で糾弾者達に現実を突きつけるという爽快さが好きなのかもしれない。「子供が3、4人殺されるのを待ってから助けた方が良かったですか?」とかそういうの。
ただ内容は本当にエグいし、麻子は当時から自覚があったにも関わらずよくも子供達にあんなこと言えたな~という思いが強い…。結局麻子が諸悪の根源過ぎた…完全に子供達の巻き込まれ損…。あんだけ心当たりあるのにちょっとでも怪しいと思わんかったのかね~麻子…。まあ終章で言ってたみたいに「そういう人だから今まで呑気に生きてこれたんでしょ」ってことなんでしょうが。

・湊かなえ「絶唱」

白い湊かなえだった。
最初は「物語のおわり」の北海道旅行みたいなノリのトンガ観光案内なのかな~と思ってたら震災話だった。
個人的には雪絵と恋花親子の話が好きだなー。
双子やきょうだいの入れ替わりってのはよくある話で、それを親が強要したというとこまでよく見る設定なんだけれど、物理的に親が掘り返せないところまで墓石を持ってきて埋めて救済、これから私は私として生きていく、というぶっ飛んだ強硬策が気持ち良かったです。
恋花ママは雪絵視点ではクソ親でしかなかったけど、ダメ人間ではあるけど娘への愛情は本物だし今後うまく立ち直ってほしい。

・乙一「花とアリス殺人事件」

久しぶりの乙一。
導入は「another」みたいな鬱蒼とした学校ホラーかと思って身構えてたけど白乙一だった。ところどころやり取りが面白くて笑っちゃった。
徹子の行動力と肝の据わりっぷり、根っからの陽性の性格はめちゃめちゃ男前なのに、バレエ歴長くてどこでもくるくる回っちゃうギャップいいなあ。軽いノリでサクサク読めて楽しかったです。

・湊かなえ「豆の上で眠る」

まさかのバッドED。
これも個人的には主人公の「こんな大変なことがあってこれくらいしんどい思いをしました」という過去より、姉が臭い描写をもっと入れて欲しかった感。…なんか最近「それ以外の描写はいいので本筋をサクサク進めてください」と思うことがたびたびあるんですが、これは私がせっかちになってしまったのかもしれない…。
姉を守るために赤ん坊を入れ替え、自分がその罪を被るため、世間には真実を公にしなかった…という犯人(?)サイドの気持ちは分かるし、産みの母と育ての母、どちらも守りたいというまゆこと遥の気持ちも分かる。だから家族ぐるみで真実を秘密にするのはいいんだけど、だったら主人公にも教えたれよ感がスゴイ。両親もまゆこも妹が怪しんでるって気付いてんだから言ってやれよ…本当のまゆこに会わせてやれよ…。ずうっと独り相撲でずっと探してた本当のまゆこにようやく会えても困ったように対応され、自分の方が腫物みたいに扱われたらそりゃ傷つくだろうよとしか思えない。
ちゃんと真実を話していれば姉とも新しく関係を築けただろうに、一方的に騙してる方に「本物なのに本物と認めてくれなくてつらかった」と言われても実際「本物のまゆこ」じゃないし、そんな得体の知れない人と仲良く暮らすなんて無理だろと。
二人の姉はその出生から悩み、妹はのけ者にされて悩み、姉妹三人が全員「私は本当はこの家の子じゃないんじゃないか」と病む最悪のEDでした…。

・宮部みゆき「おそろし」

昔の文章に慣れたい、しかしいきなりがっつり文語体やそれに近い文体の本を読むのはしんどい、という訳で「現代で書かれた時代物」から入ることにしました。結果、特につっかかることなく普通の感覚でサクサク読めたうえ、時代ものっぽい表現や単語の勉強ができたので取っ掛かりとしては良い選択だったかなと。宮部みゆきさんは時代物たくさん書いてるので今後もモリモリ読んでいきたい。

話の内容も「ちょっと不思議で怖い話」の一話完結型っぽい作りだけどメインストーリーはちゃあんと繋がっていてきれいに片付き、しかし続いていく部分や残ってる謎もあって、すぐ続編が読みたくなりました。
まあラストは美少女戦隊ものみたいな総出演共闘ハッピーEDでややご都合っぽくもありましたが、多少ご都合でもやっぱり基本的にはハッピーEDが好きなので全然オッケー。

◆という読書感想文でした。
特別貸し出し期間中にガッツリ読むつもりが、「模倣犯」を読んでる時に創作意欲がモリモリ湧いてきてしまってここで大幅に時間かけてしまった…。私の読書ブームもここで途切れるか?もう飽きたのか?と一瞬思いましたが、その後読みやすい湊かなえと乙一をガーッと読み、「おそろし」を読んだらやっぱ本って面白いなあと思えたのでまだ一人読書ブームは続きそうです。

ゲームも色々セール情報とかは仕入れて検討したりしてるんですけどね~。
どうせ今買っても積みゲー確定だし、積んでる間に時が過ぎて更に安いセールが…みたいな展開が目に浮かぶので自重してます。
アナログ読書が趣味として色々有能過ぎるのがアカンのや~~~~><
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