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時代物にはまりそう

2017.03.23 18:20|読書感想文
全部◎ネタバレ注意◎

・三津田信三「首無の如き祟るもの」

種明かしパートになるとヒントがたくさん出てたのにほっとんどスルーしてた自分が情けない…!いやちょっとは「アレ?」って思ったとこもあったけど!でも基本的には「うむ。まったく分からん。これは祟りです。完」状態でした。
長寿郎様が線の細い美形、と聞いた時点で双子の入れ替わりトリックについては最初に怪しんだんですが(定番だし)、十三参りのヨキ坊視点で「あ、男なんだ、別に入れ替わってないんだね」と信じてました。素直!!!
けどこの話はずーーーっと「男女の入れ替わり」がテーマだったんですね。一番最初に語られる淡姫の伝承の謎、「何故淡姫は首を斬られたのか?」、その答えが大ヒントになってて感心しました。
ラストは入れ替わりに次ぐ入れ替わりで「え??は??うおーーー!!!」となってる時に「主人公」とされる我らが刀城まで分からなくなるというオチでニヤニヤしました。
一応ボカされてはいるけど真相としては刀城(?)の言う鞠子が犯人説が真実で、最後に女の死体が二つ出たとこらへんからして刀城に化けたヨキ坊が復讐を果たした、というのが濃厚なのかな。
しかしそうすると鞠子が猟奇的過ぎてスゴイ。もう手あたり次第殺してるやん…。

あとヨキ坊が引き取られるキッカケになった惨劇前、雨の日に訪れた人物って結局誰か言ってましたっけ。一守家の誰かが使いにやって脅したのだとしても母親の行動は常軌を逸してるし、子供と無理心中しなきゃならないくらいなら普通逃げるだろうし、この部分はホラー要素として残されてるのかな?男とも女とも見れる人物=淡姫の伝承とも被るし、実はあれこそが本当の淡首様だったのです…的な?

そんで迷宮入りになったキッカケとして四人が一気に殺された事件がチラと出ましたが、アレも何か他の作品に出てくるのかな?前作とかであったのかな?なんだか意味深な事件なのに犯人の名前まで出ちゃってエエー(´゚д゚`)状態でしたが、この事件も気になる…。

・宮部みゆき「レベル7」

悦子とみさおの友情、みさおの救済はいい話だったし、ゆかりの有能っぷりは見てて楽しいものがありましたが、今思うと悦子とみさおの冒険パートは必要だったのか…?と、思わんでもない。つーのも、この作品のキーになる「三好」の善良な面が悦子パートで出てくるため、裕司パートラストで三好が土壇場で裏切るフリをしてもその時に種が分かっちゃうんですよね。ああ、これは演技だなと。冒頭の「フランケン」は火災の被害者=黒幕を倒すための同士で結局味方なんだなと。
最初はとにかく三好が胡散臭くて、明らかに誘導されてるように感じるし、これ騙されてんじゃないか…?と怪しむ感じが面白かったんですけど、それだけに悦子パートで本心が分かってしまって終盤の裏切りはスリル半減でした。

「レベル7まで行ったら戻れない」という煽りはめちゃめちゃ面白そうなんだけど、「レベル7」というのは結局「危ない廃人ドラッグで(物語に都合よく)記憶を消してくれる便利な小道具」の域を出なかったなあという印象。タイトルに冠するくらいなんだからもっと中心に据えてくるのかと思いきや、中心になるのは男女の記憶探し&みさお探しで、悪くはないけど肩透かし感があるというか。
まあみさおの話は素直にいい話だったし、冒頭で三好が出会った少女がみさおだったというのは最後まで思いつきませんでした。悦子と三好の不思議な絆も面白かったです。

・宮部みゆき「あやし」

宮部みゆきの時代物二つ目。こっちは「おそろし」とも違って完全に一つ一つが独立した短編集で、気楽にサクサク読めました。
特に好きな話は「安達家の鬼」かなー。「時雨鬼」もどこか絶望感漂うぼんやりしたオチ含めて好きです。世間を知らない少女は鬼になってしまうのか、目を逸らしてしまうのか。

・有栖川有栖「絶叫城殺人事件」

名前だけは聞いたことある人だったので、手軽に読めそうな短編集借りてみた。この人の本で過去に読んだことあるのは他一冊くらい。
「作者本人が主人公として登場する」という、素人がやったら「夢小説?」「自己投影乙」で済まされそうな作風で人気になってるんだからスゴイなあと思う。ただ個人的には(裏表紙にキッチリ作者の顔とプロフが載ってるのもあって)あまり好みではない…。作者が登場するのはいいとしても写真はやめてくれ…夢見させてくれ…「1キャラクターが本を書いている」という妄想に耽らせてくれ…。中の人見たくない派なんだよ私は…。

黒基調に赤明朝体の表紙といい、目次に列挙された「(仰々しい館名)+殺人事件」といい、イカニモ凶悪犯罪が詰め込まれた短編集、という感じがしたけど、実際読んでみるとそこまで怖い話だらけでもなかった。本当に凶悪犯罪って言うと最後の話くらい?それぞれ面白かったです。個人的に好きなのも最後でタイトルでもある「絶叫城殺人事件」ですが、こういうトリックの話を二時間ドラマか何かで見たことある気がする。映像化されたことあるのかな?
「紅雨荘殺人事件」は背景の描写が美しく行ってみたくなる。作中作の映画のストーリーも好きだなー。

・宮部みゆき「ばんば憑き」

「あやし」が短編集なら「ばんば憑き」は中編集って感じなのかな?
「あやし」では「こんな不思議なことがあったんですよ…こわいですね…」で終わる話中心だったのに対し、「ばんば憑き」では「こんな不思議な困ったことがあり、それをどうにか解決しました。」というところまで描かれていた。問題を解決するために人々が力を合わせて協力するような描写が多く、より王道で気持ち良い話が多かったです。余韻を残したまま終わる「あやし」も好きですけどね。
特に好きなのは「お文の影」と「野槌の墓」だな~。死んだ子供が絡むと切ねえ…こういうの弱い…。特にシリーズとかではないと思ってたけど、「あやし」で出てた「灰神楽」の続きが読めて良かった。
唯一タイトルにもなってる「ばんば憑き」だけは怖い感じで終わって、続きが気になる。お松はようやく人生のケリを付けたけど、主人公はどうすんだろうなあ…。よそに女を作ってわざと嫁に殺させ、「ばんば憑き」を行うとなると、それはもはや単なる人殺し以上の畜生な気がするんですが、主人公をそこまで追い詰めたのは当の嫁と彼をとりまく環境と思うと闇が深い。こういうの好き…。

・三津田信三「幽女の如き怨むもの」

すごく面白かったのだけど、なんというか…序盤は頁を捲る手を止めてしまうほどエグく、読後感はやるせない・・・・・・・・・・・・・・・。

「遊郭もの」というのはいつの時代も根強い人気があるイメージですが、私個人は別段嫌いでもなければ進んで読んだり調べたりするほど興味はない…という感じで、遊郭の知識や耐性がほとんどありませんでした。
だからもう一章の桜子視点を読むのがつらくてつらくて。花魁デビューするその時まで花魁が何を売っているのかも気付かない桜子に対しては「察しろやwww純真過ぎかwww」とちょっと笑っちゃうくらいだったんですが(二次小説並みの鈍感だったもので…)、いざ花魁の生活が本格的に描写され始めると生々しいことこの上ない。純真過ぎる桜子視点だからこそ、見聞き体験するものすべてが痛々しく読んでいるのが辛い。闇小屋で堕胎を盗み見るところなんてもうほんと読むのがイヤでした。

だからこそ桜子が早々に身受けされるくだりは本当に良かったと思った。けどこの終わり方だと「絶対この先何らかの形で再登場するだろうな」とも思ってた。一番ありそうなのは出戻りだけど、それだけはやめてくれよと心から思った。
だから二代目緋桜が来た時には真っ先に桜子本人を疑ったけど、かつての同僚やバーサンが気付かないはずがない…と判断して、真っ先にその可能性は切りました。何より私自身が「桜子に出戻ってきてほしくない」と思ってたんだと思います。
二代目の時点で桜子本人説可能性を捨てたので、三代目緋桜については考えもしなかった。
そんなだったので刀城パートで「全員が同一人物だった」と言われた時は、
「ああ・・・・・・・・やっぱり・・・・・・・・・・帰ってきてたんか桜子・・・・・・・・」と、虚無感がスゴかったです。

そこからの解決パートは見事でしたが、もうほんっと~~~にやるせなかったです。
夢物語のような身受けで地獄から抜け出したのに、夫の商売が傾き始めると叔父夫婦に疎まれ舞い戻り、夫が病気になるとまた戻り、そうしている間に夫に先立たれる…。なんつー人生だよ…。
そりゃ人生辛いからって殺人に走っていい訳じゃありませんが、こんな人生はあんまりだ…。どうしても桜子を責める気にはなれないし、このシリーズは殺人者も必ずしもお縄にならないというのがいいとこだと思います…。
そして浮牡丹姐さんまじ聖母。敬虔なキリスト教信者ならとても許されたことじゃないだろうに、信仰よりも同僚への慈悲が勝ったんだなあ…。

…とまあそういう感じで、ものすごくエグくてやるせない話でした。
そう書いてしまうと悪口みたいですが、人にこれだけの感情を与えられるすごい話だったと思います…。
最後にちゃんと不気味なオカルト要素も残してくれてるし。

・「本格ミステリ2007年本格短編ベストセレクション」

以前読んだアンソロ「ストーリーセラー」の時のように、これで新規開拓できたらいいな~と期待しながら借りてみたんですが…。
どうも「新規開拓用」というより「ミステリ好き・ミステリファンのための内輪用アンソロジー」という感じで、「シリーズものの〇作目」という短編ばっかりだった…。シリーズものの一部でも読めないことはないんだけど、話の面白さに関わらずどうも疎外感というか蚊帳の外感を感じるので途中からはちょっとうんざり。シリーズぽくなくても「やたら濃いキャラが突然出てきたけどこれシリーズなの?どうなの?」とよくわかんなくて疑心暗鬼にもなる。このアンソロ読むなら一番最初から順番に見ていった方がよさそうだ…。

内容に触れておくと、
柳広司「熊王ジャック」の動物系トリックが面白かったです。シートン動物記が読みたくなった。
北村薫「想夫恋」は完全に私の教養が追いつかなくてよく分かんなかったパターンだった。

◆という読書感想文でした~~。
宮部みゆきの時代物にハマりそうです。色々借りてみたい。
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