ミステリ多め10冊感想文

2017.05.20 23:58|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・東野圭吾「手紙」


ミステリではなく受刑者の親族の身に降りかかる苦労をひたすら書き連ねた話だった。
最後はちょっと泣いちゃったけど、つらい。せつない。やるせない。という感想しかない…。
社長の言うことは残酷なんだけど、実際真実に近いんだろうなと否定できない自分もいる。人種とか性別とか先天的なものでもなく、被差別側にも負い目があるし、この差別がなくなるとも思えない哀しい現実…。

・麻耶雄嵩「神様ゲーム」


続編の「さよなら神様」よりエグい、と聞いてたのでこわごわ借りてみた。装幀といい、行間の余白の広さや過剰なふりがな、挿絵など、健全な児童書を偽装してるとしか思えない作りが既に悪趣味で読む前からニヤニヤ。
でも最後まで読んでみると、オチが衝撃過ぎてエグさとか感じる前に「えっ!!!!????」で終わってしまった。これどーいうこと@@???と混乱して考察とか読んでみると、そのまま母親説だよ、いや神様は偽物で父親説だよ、いっそ鈴木が犯人だよ説とか色々論議があったようですね。
私個人は先に「さよなら神様」を読んでしまってるので神様としての鈴木の宣託は疑ってない。なので自動的に母親犯人説(母親が桶に隠れてた説)を支持することになるんですが、そうすると警察(父親)が母親の痕跡を見逃さないんじゃないか?父親は更に母親の共犯・・・?でも父親に電話させるよう誘導したのはミチルだし・・??とかよく分かんないことに。

そこである人が考察してた、「父親は以前から母親の変態趣味に気付いてたけど止められず、ミチルは母親を人質に取るかたちで父親に現場の指揮を取らせて痕跡を消させた」説を見るとけっこうしっくりきました。
「主人公は両親と血が繋がってない」という衝撃の事実はそれ自体が重要なんじゃなくて、「母親が子供を産んでいない」ということを示唆したいのではないか。そこから更に母親処女説や、母親同性愛者(+幼女趣味)説に繋がればミチルちゃんとエッチなことしててもおかしくない。
また猫殺しの件が英樹殺しにまったく関係ないことから、ミチルが更に光一やアキヤカイとも関係を持ってたんじゃないか説も見てゾッ。個人的にミチルと光一の関係は疑ってましたが、そこまで誰彼構わず誑かす少女とか魔性過ぎる‥。

・小川糸「食堂かたつむり」

小川洋子に似た作風の人が知りたい…と思ってぐぐって出てきた人。
似てる…というのはなんとなく感じたけど、それはこのジャンルに共通してるのかこの人が似てるのか分からない。が、そんなことはさておき普通に良い話だったし普通に好きだった!
ちょっと不思議で俗世とはズレてるところもある、王道のハートフルストーリー。これは他の作品も読み漁りたい。
最近物騒な話ばかり読んでたので(好き好んで読んでるんですが)、癒されました。

・城平京「名探偵に薔薇を」


読んだ後に「薔薇でええんか?百合じゃなくていい?」などと野暮なツッコミをしてしまったけど、面白かったです。
小人地獄関連の描写はグロめでウッとなることも多々ありましたが…。名探偵の瀬川みゆきがやたらキャラ立ってるクール美女なので、漫画とかアニメにしたら映えるだろうなと思った。いやアニメで小人地獄の描写はムリか…。
真相は偶然か因果かが招いた悲劇でしたが、個人的には三橋犯人説が闇深くてけっこう好きだったりする…。好きな女を手中に収めるために外堀埋めまくって、挙句好いた女にさえ手を汚させて自分しか見れないようにするという泥沼っぷり大好き。
まあ結局三橋さんはいい人だったんですが。

・三津田信三「怪談のテープ起こし」

実録系はもうやめとこう、、、と思ったのに結局借りてしまった。
以前読んだ作者の怪談収集系「どこの家も~」は最終的に全ての話に共通する真相がきっちり明かされ、実話としては「出来過ぎ」な印象があったけど、今回のは共通性も弱くてオチもあっさり。
「出来過ぎているからこそ創作としての完成度が高い」のか、「共通性やオチが曖昧なまま終わるからこそ逆に真実味がある」のか、実録系はどちらにも良さがあるのでそのへんは好みの問題かなあ。個人的には物語としての完成度が高い「どこの家~」のが好き(怖い)かったかな。けど「怪談の~」も、普通の怪談話集と思えば楽しめるので他にもいろいろ読みたい。個人的には「屍と寝るな」が好きでした。

・小川洋子「ことり」

もう読んだと思ってたらまだだった。
タイトルや表紙からしてほのぼのハートフル系かと思いきや、全然違っていた。ぞっとするほど美しい静けさの中で、あらゆるものに拒絶されながら静かに老いていく「小鳥のおじさん」の一生…って感じだろうか。とにかく静かで美しいのに怖いし狂ってるし、ちょくちょくハラハラさせられる…。かと言ってサイコホラーみたいな犯罪者を見守っているような感じでもない。

・貫井徳郎「誘拐症候群」


前作の「失踪」も面白かったので期待してたけど今回も面白かった~~~~!!
前作でキャラ把握してる状態で読んでるので「倉持?これ倉持じゃね?倉持キター(゚∀゚)!!」「原田キターー(゚∀゚)!!!!」みたいな感じで知ってるキャラが颯爽と登場してくる感じがすごく楽しくてニヤニヤしました。
「失踪」ではいちばん凡人感があってくたびれたお父さんだった原田も、咲子の前に出てくるとこはなんか得体の知れない怖さがあるし、ヤクザに追い出されそうになってる武藤を助けるシーンはかっこいいの極みだった。危ないお店の怖い人が原田の登場で「なんだ原田さんの知り合いですか~早く言ってくださいよ~w」って一転するのが楽しすぎる。

ティッシュ配りの絵本作家が実はお坊ちゃまで「会長が危篤です!どうかお帰りください!!」って爺やとやり合うシーンなんかは古典的過ぎて「まじかよwwww」ってちょっと笑いましたが、そういうのも含めてすっごい楽しかったです。
オチが仄暗く、武藤の貴重な友人が修羅の道へ落ちていく様は心情的にはつらいですが、お話としてはアリかな。
いやー面白かった。三部作らしいけど三作目の「殺人」が図書館には入ってないので、そのうち自分で購入すると思います。
どうも今度「失踪」がドラマ化するらしいですが、「誘拐」は韓国的な問題でドラマ化できないだろうなあ…。

・綾辻行人「水車館の殺人」


館シリーズ二作目。
「十角館」に続き、ベタというか「いかにも」という設定テンコモリなんだけど、こういうベタベタな舞台はやっぱり心惹かれるものがある。
十角館冒頭で学生達が「最近のミステリにはロマンがない!くたびれた刑事が靴底をすり減らして真実を追い求める話の何が面白いのか!科学の進歩などクソくらえだ!ミステリならやっぱり不気味な洋館で不可思議な殺人が起こってこそだ!」みたいな談義で騒いでましたが、このシリーズはそういう「ロマンのあるミステリ」を目指してるのかな。
薄幸の美少女ユリエと死体の入れ替えについては怪しんでましたが、三人の間で入れ替えがあったとは思わなかった~。最後の最後でオチがホラーなのもいい意味でぞっとしたし面白かったです。

・宮部みゆき「震える岩」


短編集「かまいたち」で出てきた姉妹屋お初の話が面白くて、もっとこの話読みたいなと思ってたらこの作品が続編だった模様。
目次からしていつもの短編集かと思ってたけど、不思議な事件から事件が繋がる長編で読みごたえがあった。「忠臣蔵」については私は全然知らない(あーなんか仇討のやつね程度)でしたが普通に面白かったし、忠臣蔵にまつわる謎や因縁を描くだけかと思いきや、最後の最後で「赤穂浪士の討ち入り」の再現があって切なくも燃えた…!
赤穂浪士が描かれた絵には一人だけ背を向けている人物がいる。…という事実からここまで話を膨らませられるのスゴイなと思った。

・綾辻行人「迷路館の殺人」


館シリーズ三作目。
で、出た~~wwwポセイドンとかミノタウロスとか神話系のこじゃれた名前をそれぞれの部屋に付ける奴~~~wwwww
ほんとに毎回これでもかというほど古典的ベタベタミステリな舞台が用意されてて面白くって仕方ないです。パロディ見てるみたいな楽しさ。次はどんな設定出してくるのかなという楽しみがある。

中盤からはすごい勢いで人が死んでいってエエッ(゚д゚)???ってなってるうちにとんとん拍子で解決し、そうなのか…と思ったら最後にまたひっくり返すという目まぐるしい展開で楽しかったです。結局真犯人は逮捕されてないんか…。宮垣憎しで無辜な作家達を巻き添えにしたのは人として最悪ですが、障害がある子供のことを思うと「ちゃんと逮捕されてほしい」とは思えないフクザツなところ。真相が明らかになったら遺産と母親が取り上げられるし、悲惨な未来しか想像できない…。

◆という読書感想文でした。
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