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時代物にはまってる

2017.06.11 02:51|読書感想文
時代物多め10冊(正確には13冊)感想文。
◎ネタバレ注意◎

・宮部みゆき「ぼんくら」
 

いつもの人情ものほのぼのストーリーかな?と思ったら、これは主人公がお役人ってことでジャンルとしては「捕物帳」になるのかな。やっぱり探偵役の主人公が謎に迫って暴いていくというストーリーはいつの時代でも楽しい。
タイトルから「ぼんくら」言われてる主人公はどんなダメ人間なんだ…って思ってたけど良い意味で「適当」なだけで普通に有能な良いお役人でした。
大親分の茂七や人間ボイスレコーダーおでこもどっかで見たことあるんだけど、前読んだ京都深川なんちゃらかんちゃら~って短編集に出てきた人たちかな?図らずもけっこう良い順番で読んでる気がする。
レギュラーキャラぽい弓之助は将来有望過ぎて今後のシリーズが楽しみ。
佐吉やみすずもみんないいキャラだったけどやっぱおくめさん好きでした…。お徳は中盤くらいまで「九兵衛が出てって佐吉が来たのはオマエラがお露を庇ったからなのに当たるなよ…」って印象悪かったけど、事前に念入りに騙されてたらしょうがないかなという感じはする。それ以外は普通にいい人だったしね。

・綾辻行人「人形館の殺人」

主人公がやたらメンタル弱く、下揃えで時々入る心理描写が「最後の記憶」の豆腐メンタル主人公の心理描写に似てるなあ…って思ってたらそれ以上にヤバイメンタルの持ち主だった。
中盤までは「いくら警察がアテにならないって言っても人死んでんだからいっぺん警察行けや!相談したって実績だけでも作っとけや!」と主人公の軟弱っぷりに疑問を持ってましたが、種明かしを聞くと何かと理由をつけて絶対に警察に行かないところも納得。

犯人=主人公の妄想説は割と早い段階で考えてたのであーねって感じでした。序盤の犯人のモノローグで、「まずは母親を殺さなければならない」っていう「母親」のところが、なんとなく「自分の母親」のことを言ってるみたいな感じがして。
架場への誘導は露骨すぎたのであんまり疑ってませんでしたが、それにしてもおかしな発言もあったし「あっ・・」ってなるオチでした。
「人形館」なのにメインの人形が主が死ぬ数年前にこしらえた妻への愛を示す仕掛けでしかなく、他は普通の屋敷でセイジの屋敷にしては異常度が少ないなあと思ってたらそれすらも主人公の妄想だった、というオチも面白かった。

・宮部みゆき「日暮らし」

ぼんくら同心平四郎の話が面白かったのでさっそく次も借りてきた。今回も面白かったー弓之助がちょっと有能過ぎるとは思ったけど!牢屋で杢太郎やハチマキ親分を転がしてるところはすっごい面白かったけど、事件の真相まで弓之助が解いちゃうんだ?的な。もうこの甥っ子はサブキャラではなく第二主人公くらいの扱いだと思ってた方がいいのかな。

あとは平四郎と同意なんだけど湊屋がクソ過ぎてだな…。というか佐吉に対してひどすぎるだけで、他人様に対しては太っ腹で慈悲深い大商家ってのがまた怒りのやりどころがなくてクソなんですが。
「ぼんくら」で佐吉に対して「親がどういう人物だからと男がそんなことでいつまでもウジウジしては困ります」みたいなことを平四郎に言ってて、それはまあそうなんだけど、それをお前が言うかと。お前の嘘のせいで佐吉は恩義という名の負い目に縛られて言いなりになり、鉄瓶長屋の差配人なんて貧乏くじ引かされて振り回されてんのに、お前がそれを言うのかと!!!
佐吉を追い出すていにして葵んとこで一緒に住まわせるとかできたんじゃないの?言ってみりゃあなた幼い佐吉から母親を取り上げて独り占めにしてた立場ですからね?「親のことなんか関係なく強くなれ」と言うなら、まずお前が佐吉を手放して完全に縁を切ってやれっつーの。騙して恩義に付け込んでいいように使ってるくせに何が「男なんだから~」っていう。

とりあえずこれで湊屋のゴタゴタは本当に終わったのかな。まだ跡目争いやらおふじやらの問題が残ってますが、もうこれ以上湊屋ゴタゴタ引っ張らないでほしい。次の「おまえさん」では別の楽しい話が読めることを期待している…。

・貫井徳郎「私に似た人」

おどろおどろしい装丁とタイトルからしてミステリ系(ドッペルゲンガーとかの)かと思いきや、「あなたも一歩間違えばこうなるのですよ」という警告を発してくる社会派?小説っていうのかな。2013年発行だけあって現代社会の危うさを指摘してて耳が痛い話だった。

・宇江佐真理「幻の声」

「ぼんくら」から捕物帳ジャンルに興味を持ち、人気シリーズらしいので借りてみた。一話完結型なのでなんとか最後まで読めたけど、私にはまだちょーっと読みにくかったかなあ。どこがどう読みにくいかはうまく言えないけど、どうしてもその時代のテンポに慣れてないというか。話は面白かったです。

・道尾秀介「鬼の足音」

ダークな救われないミステリ短編集。(いい意味で)後味の悪いぞっとする話の詰め合わせ。
…なんだけど、それ以上にこの本が不気味なのは全部の話にぼんやりと共通性があるからでしょうね…。話は全部それぞれ独立してて、具体的に共通するポイントと言えば「よいぎつね」と「箱詰めの文字」の「狐」くらいですが、これは「よいぎつね」の最後の主人公の問への回答を念のためにやりました、程度で話自体が繋がってる訳ではなさそう。
それよりもっとぼんやりとして共通してるのが「鴉」と「S」。重要なキャラのイニシャルは必ず「S」で統一され、それが何編にも渡って出てくると、まさに正体不明の狂気の足音がひたひたと迫ってくる感じがしてヒジョーに不気味でした。面白かったです。

・高田郁「八朔の雪」みおつくし料理帖

深夜番組や少年漫画やら、そんなとこに需要あるの?と思うような媒体でもいつの時代でも地味に人気を集めている「料理もの」。
派手なアクションや奇抜なトリックがある訳でもなく、ただただおいしいごはんを並べる料理ものの魅力というのは、分かりやすい面白さではなく「なんだかほっこりするところ」な気がする。

主人公の澪は良い人に巡り合って援助受け過ぎなとこもあるのだけど、澪本人は本当に頑張ってるし素直に報われてほしいので多少のご都合は全然オッケー。だんだん頼もしい仲間(?)が増えていくのが見てて楽しかったです。お寮さんの澪を思う気持ちも泣けたし、のえちゃんとの絆にも泣けた…。
私でも読みやすい文章だったのでこのシリーズは追いかけたいし他作品も読みたい。と思って図書館の蔵書調べてみたら、20冊程度ある本がエッセイやレシピ本除けば全部貸出中でびっくり。相当人気ある人なんだろうか。

・三津田信三「黒面の狐」

どっちかというと戦時中の炭鉱事情や建国大学なんかの歴史のお勉強部分の方が面白かったかもしれない。
ミステリ部分については合里の死体が出てこない時点で既に怪しく、やっと出てきたと思ったら顔が確認できなくて更に臭くなるのでこのへんは定番だったなと。最後の二人の入れ替わりについても、合里が本格的に臭くなってきた時点で疑ってたのであーやっぱりって感じでした。
怪奇としての「黒面の狐」については本当にただの怪奇で終わり、なんの解釈もなかったこともちょっと物足りなかったです。まあこの作品はホラーではなくミステリ重視なんでしょうけど。

・宮部みゆき「おまえさん」
 
あーーーーーー面白かった!!
佐吉のことは好きだったけど湊屋の話題はすっぱり出てこなくなってホッとした。一回だけみすずの嫁ぎ先の話あったけど。
メインの王診膏の殺人から、おきえの話とかサタエの話とか栗林の死因とか仙太郎の富一とかお仲と丸一とか早口先生とか伊右衛門とか、色んな人の人生が絡み合って繋がったり繋がらなかったりしながらどんどん広がっていくのが楽しかったー!!しいて難点を言えば時代柄女性は「お〇」って呼ばれることが多いからメインからそれる人はちょっと忘れちゃうくらいかな!

特に印象に残ってる人はおきえと早口先生かな。
おきえは政五郎目線で見てたのもあっていい印象全然ありませんでしたが、「泥被ろうと世間にどう思われようと自分の幸せは全力で取りに行く。それでお縄になるようなことをやってないなら恥じることなんかなんにもない、これがあたしの人生だ!」と最後に言い切ったのはすごく力強くてカッコイイと思いました。この言葉がもうひと悶着終えてるのにまだビクビクしてるお六と彦一に突き刺さるシーンは見てて楽しかった。

早口先生の、「悪事をするならせめて最後までばれぬようにすることだ」のくだりもかっこよかった…。悪には悪なりに通さなければいけない矜持があるってやつだよなあ。かっこいい。細君の「罪は雪のように消えはしない、一度きれいにならしてしまわなければいけない」からの「罪は広がっていく」も良かった。
でもお前もさたえさんにコロッといっちゃうんか~~い!とは思ったな…。
さたえさんは普通にいい人(というかわきまえてる人)なんでしょうけど、どんな男でも惚れ込んじゃうというのは一体どこまでの美女なのか…。これもまた嫉妬なのか。

弓之助の兄貴の淳ちゃんも好きなキャラでした。もともとこういうネアカキャラ(馬鹿っぽく見えるけど実は有能で女の扱いも慣れてる)好きなので。
お兄ちゃん的には不服かもしれんけど政さんの手下になってゆくゆくは弓之助とコンビ組んでほしいな~絶対面白いだろうから~!

・あさのあつこ「弥勒の月」

あさのあつこも時代もの書いてたんだ!?と喜んで借りてみたんですが、、う~~ん。
なんつーか、黒幕が医者だったから屋敷の奥まで入り込めたし薬で心臓発作も起こせた、暗示をかけて自殺させた、挙句狂気を増幅させ快楽殺人鬼へ仕立て上げ駒にした…と、肝心のトリックが反則×反則じゃないかと。どれか一つならまだ許せるけど、全部合わさるとあまりに安易というか。おりん殺し(?)の説明してる時の台詞やたら長くて、「説明乙です!」って笑っちゃいましたよほんと。

清弥の過去もすごい中二でびっくりしました。いや中二は別にいいんですが、そういうちょっとしたファンタジーは求めてなかったというか。こういっちゃなんだけど凄腕の刺客だったという過去も二次元ではありふれてるし、どうせならおりんとどうやって情を深めていったか、「弥勒」とまで言わしめるおりんとのエピソードを見せてほしかったなあ。なんつーか、要するに「闇社会からの足抜けがうまくいかず組織から報復されただけ」っていう、それ以外の思惑が何もない、あまりにも無意味な連続殺人だったというか…。

信次郎も作中ではかなりの大物のように書かれてますが、個人的には伊佐治と同じであんまりいい印象はない。この二人の親子みたいなやり取りはけっこう好きなんですが、信さんはちょっとチンピラ過ぎるっつーか、ガラが悪いっつーか。もうちょい大人になってくれ。

文章は読みやすかったし、けっこう長いシリーズだから人気っぽいし、もう2~3作は読んでみようと思います。

◆時代物を読み始めた動機はけっこう不純だったんですが、いざ読んでみるとすっごい面白い。

・宮部みゆきの時代物はもうけっこう読みましたが、現代ものより好きかもしれません。宮部みゆきの現代ものは胸糞要素がそのまま放置されてすっきりしないことも多いんでね…。時代物は多少ご都合あってもハッピーで気持ちよく終われるものが多い。時代物で胸糞だったのは今んとこ「孤宿の人」くらいかな。

・時代ものを読んでたびたび思うのは、「着物とか身の回りものとか文化面の知識ほしい・・・」ってとこですかね…。
よく女性を形容する時に「〇色に〇〇柄の〇〇、帯は〇〇で〇糸が織り込んである」とか説明されるんですが、いまいちぱっと想像できなくて入り込めない。色や柄を分かりやすく、更には「南天は『難を転じて福となす』という言葉から縁起の良い柄とされ…」とその意味までちゃんと説明してくれる場合もあるんですが、そうでない場合も多い。「〇〇柄の帯なんて上出来じゃねえか」とキャラが意味深に言っても、こっちは柄も想像できないしその柄が意味することも分かんないんですよね。読書をちゃんと楽しむにはその舞台の文化も知っておく必要があるんだなあとしみじみ思いました。

そう思うと普通の現代ものを読む時でも、前提になってる文化や知識というのが実はたくさんあって、普段は無自覚に理解してるんだな~と思いました。例えば「学生がベンツ乗り回すなんて生意気だなあ!」って台詞があって、これをすんなり理解するってことは、「ベンツ=高級車=普通の学生には無理」って共通認識が読者に備わってるってことだし。これは極端な例ですが。
誰かが言ってたけど、娯楽を楽しむのにも相応の知識が必要ってこういうことなんだな…。

◆という感想文でした。
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