ジャンル色々10冊感想文

2017.07.06 17:58|読書感想文
本当に色々。
◎ネタバレ注意◎

・道尾秀介「向日葵の咲かない夏」

生まれ変わったS君が当然のように受け入れられてる突拍子もない世界観は個人的には好きだし、S君はおろか岩村先生もお爺さんも主人公でさえ信じられなくなっていく過程もすごく面白かった。けどモノもヒトも夏の暑さで腐っていくような汚さがあるというか、臭気が漂ってきそうというか、そういうのが全面に押し出されてて読むのがちょっと辛かった。

「生まれ変わり」については登場人物らがやけに理解があるので、この世界はそういうもんなのかな~とか、転生について深い信仰や伝承がある地域なのかな~とか思って普通に流してたんですが、最後まで読むとS君を受け入れて普通に会話してたのは皆「転生した」人達なんで、つまりそういうことなんですよね…。S君の話していたことも嘘ばかりで、今思うと主人公も知ってる情報から推理を組み立てただけで、新しい情報は何一つなかった気がする。そもそもS君が本当に転生していたのなら、「死んでくれないかな?」の件を言うはずだし。何より転生した人たちは皆主人公に優しい。エピローグでの母親は人が変わってるし、家族揃って話してるのに主人公は「葬式」の後親戚の元へ引き取られることになっている…。

そのあたりを踏まえながらもう一度読み返したらかなりぞっとする場面が多そうですが、やっぱり私は嫌悪感が先に立ってちょっと再読はムリかな。お爺さんの転生先とか本当にムリです。
でも話のエグさは好きでした。エグいの好きな人&ちょっと汚くても平気な人にはいいのかもしれない。

・道尾秀介「片目の猿」

最後の最後で今まで頭の中で描いていた景色に色が付いて全部塗り替えられるような感覚!
ただ主人公もそうだけどアパートの住人の個性が特に強烈で、少年漫画的というかかなりライトなノリなので、がっつり硬派なミステリが読みたい人には合わないかもしれない。まあ漫画的って言っても絶対漫画や映像化はできない作品でしょうけど。

・宮部みゆき「天狗風」

姉妹屋お初捕物帳二作目。今回も面白かった~~~もう鉄が可愛くて可愛くて!
古沢パパも前作ですっかり憑きものが落ちたようで、完全にただの良いパパ上だった。「うちの馬鹿息子が!」をいちいち強調しまくってたけど、一応勘当したってことになってるのに馬鹿息子呼ばわりなんだから、つまりそういうことだよね…ツンデレパパン…。
古沢さまは父ではなく叔父と同じ算術の道に進むことで父の猜疑心がいっそう増すのでは…と懸念してたけど、実際算術の道に進んで好きなことしてた方が捕物っぽいお仕事に身が入るようになったので、パパ上は内心「やっぱり俺の息子」とうれしくなってるのかもしれない。

・小川洋子「不時着する流星たち」

今回もどこか狂気や残酷さが滲むたいへん美しい文章でした…。
「測量」の像の話とおじいさんの音楽、日常的に死に近いせいで常に危うさを覚える「手違い」、少女のコンプレックスと狂気と憧れが見える「若草クラブ」、身勝手な夫婦がリアルな「さあ、いい子だ、おいで」、オチが切なすぎる「十三人きょうだい」が特に好きでした。
「臨時実験補助員」のどこか不気味な感じも好き。この手紙を放置する実験、軽く検索してみたけど特に結果などは出てないみたいなので気になります。確かにロマンのある実験だと思う、今やったら批判されるだろうけど。

・柴田よしき「小袖日記」

平安が舞台のお話だけど、主人公が現代からトリップ(?)したさっぱりしたアラサーOLでサクサク気楽に読めました。主人公の語りが軽すぎて笑っちゃうこともしばしば。
内容は日本人なら誰もが義務教育中に学び、そして多くの人が「こんな軽薄な女泣かせてばっかの男の話のどこがそんな面白いんだ…?」と感じる「源氏物語」が、ちょっとは救われるようになるかもしれない裏話。
個人的には「源氏物語」ではとにかく怖い印象があった「葵」の章と、健全な女性「明石」の章が好きでした。波にさらわれたって表現素敵だな~。
ついでにこの作品で平安豆知識を得られるかなと思ったけど、割と汚かったりえげつない事情が多かったです。

・貫井徳郎「ミハスの落日」

海外を舞台にした短編小説集。
舞台はなんだかどこもロマンチックでエキゾチックでちょっとした旅行気分を味わえるのに、各地で起こる事件はやるせないものやほの暗いものが多く、くすんだセピアのフィルターを通して見てるような気分。
個人的には「サンフランシスコの深い闇」と「カイロの残照」が好きだったな。

・綾辻行人「深泥丘奇談」

ホラーものにオチがどうのと言うのは無粋なのかもしれませんが、割と突拍子もない現象が次々起こるのに主人公のスルースキルがハンパなく、全体的にぼんやり終わってしまった印象。ホラーだとしてももうちょっと秩序がほしかった。
個人的には虫歯の話が面白かったです。最近歯医者に苦しんでたばっかりだったから、どんなに気持ち悪くても「一生モノ」の虫歯予防ができると言われたら縋りついてしまうかもしれない…。

・東野圭吾「秘密」

東野圭吾と言えばやっぱ「ガリレオ」のイメージが強いので、どんなことにもきちんと説明を付ける本格ミステリの人だと思ってたんですが、けっこう超常現象をそのまんま扱うこともあるんですね。「ダイイング・アイ」もちょっとしたオカルト要素があったけど、あれは加害者に強烈な罪悪感が芽生えて…とか死にゆくものの強烈な怨恨が焼き付いて…みたいな感じで説明できなくもないけど、今作はほんとに超常現象だった。
そして個人的な事情で申し訳ないけど今回読む時間がなくてストーリーだけ追いかけるほぼ速読状態だったので、ラストも「あっそうなんだふーん」で終わってしまった…。他の方のレビューを読むと夫婦の愛の形に感動してる人がいっぱいだったので、もうちょっとちゃんと読めばよかった…。

・西條奈加「善人長屋」

話も設定もキャラも面白かったけど、なーんかハマりきれなかったのは、人間関係が過去にすっかり出来上がってて読んでる方からすると蚊帳の外感があったからかもしれない…。
有能な組織が暗躍して俺たちTUEEEEする話は好きなんだけど、その組織に特に思い入れがないうちにやられると逆に冷めるというか…。へーそうなんだ君たちすごいんだね…みたいな…。新しい話のたびにどこどこの組織はその筋で有名で~とか、次々色んな悪党が出てくるのもそれに輪をかけてたような印象。更に「今度のヤマは本当にヤバイから降りた方がいいぜ」という流れになるまでセット。
俺TUEEEものは主人公が好きになれるかどうかでキッパリ評価が別れるけどこの作品もそんな感じでした。
「抜けず刀」のオチや「犀の子守歌」の真相はしんみりして良かったし、お縫が父のために善行を積みたいと思う気持ちとかは好きだった。
文章は私でも読みやすかったので他の話もいくつか読んでみたい。

・小川糸「リボン」

小鳥のリボンが繋ぐハートフルストーリー。
この方の本はまだ二冊目なんだけど文章もお話も温かくて優しくて、今んとこ「泣きたい時に読みたい作家」という認識です…。今回も泣いた…。泣き続けるのは疲れるので、ちょっと間をおきつつ他の本も読みたい。

◆という読書感想文でした。
我ながらジャンルが雑多過ぎて節操なく手出し過ぎ感ありますが、王道のミステリや推理小説はもちろんオカルトも時代物もほのぼハートフル系もどれも読みたいって思っちゃうんだからしょうがな~い!
まあでも人が死にまくる殺伐としたミステリばっか読んでるとなんとなくこっちの気持ちも殺伐としてくるし、色々つまむ方が精神的にいいんじゃない?…と思ったけど、時代物でもオカルトでもほのぼの系でもだいたい人死んでたわ…。
いやでもこう殺人事件中心で刑事が靴底すり減らして歩く系とは殺伐度が違うというか…まあ気持ち的にね、うん…。
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