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読書感想文だよ

2017.10.24 21:07|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・貫井徳郎「灰色の虹」

ひたすら冤罪のできる過程や悲惨さを描いた話。爽快な解決パートとか、土壇場のどんでん返しとか、そういうエンターテインメント性のある物語ではなく社会派?っていうんだろうか。正直結果が見えてるだけ、読んでるのがつらかった。特に過去パート。
この作品では特に冤罪に深く関わった刑事、検事、弁護士…とかそのへんの分かりやすい人物にスポットが当たってて、中でも一番酷いのは自白を強要した伊佐山に見えるんだけど、この伊佐山を野放しにしてる警察も相当酷いんだよなぁ…。
同僚からも「強引な捜査をする刑事」として周知されてるのに、伊佐山が自白を引き出したとなったら「じゃあそれでオッケーお疲れ様~」みたいなノリよ。比較的まともな山名だって「問題はあったけどそこまで悪い人ではなかった」と認識してるし。警察官にとってはちょっとした問題でも、市民にとっちゃ一生を揺るがす大問題だってことを自覚してほしい…。
山名が雨宮(目撃者)に言ったこともド正論なんだけど、結局責めるのは身内の警察じゃなくて市民なんだ…思って全然スッキリしませんでした。調子乗った雨宮もヒドイけど、最初に神輿を乗せたのは警察だろうに。冤罪を作ったことを作中唯一正論で責められ、自覚して後悔するのが、直接職業に関わりない一市民っていう酷い結末だった。

・小川糸「サーカスの夜に」

大人になれない病気の少年が自立するためにサーカス団に入る…という話。で、面白いというよりサーカス団の暮らしぶりやその仲間たち、世界観や物語の雰囲気を楽しんで読んでた気がする。
お話的にはようやく少年が最初のステージに立てた!というところで終わってしまって、実力的にはまだまだこれからという感じだったので、もっと続きが読みたかった。

・畠中恵「やなりいなり」

シリーズが進むたびにやなりのマスコット具合が増してる気がする…。
長崎屋レシピの遊び心面白かったです。
この世界線ではかなめさんとは会うこともなく終わった、失恋すらできない恋だった…というのが切なかった。

・三浦しをん「きみはポラリス」

色んな恋の形を描いた短編集、って感じなのかな?同姓愛や近親や死者(冥婚…になるのか?)やら、序盤は分かりやすい「ギャップ」を扱ってたけど、後半からは普通に男女のちょっと変わった恋物語もあって面白かった。
個人的には死者への想いを募った「骨片」のオチが好みです。

更にものすごく個人的な話をすると、「ちょっとおバカな恋多き幼馴染のことを、面倒くさがりながらも恋の成就や慰めに付き合ってやる主人公、しかし実は主人公は幼馴染のことが好きで…」という一次BLをむかーし書いたことがあったので「永遠に完成しない~」はものすごく好きな設定でした。あの話ちゃんと設定練り直してまた書こうかな…。

・乾石智子「魔導師の月」

「夜の写本師」の作家の二作目。というわけで読んでみたけど、正直けっこうキツくて無理やり読んだ感ある…。「夜の写本師」は私が久しぶりのファンタジーだったからか新鮮な気持ちで読めたけど、二作目だとなんだかダレてしまった。
不思議で魔法な出来事がたくさん起こるし、その発想はスゴイというか面白いと思うんだけど、最終的には「結局なんでもアリなんやな」みたいに思っちゃうというか…ワクワクする気持ちをどこかに忘れてしまったのかもしれないね…。
あとこれは私の感じ方だけど、どうもこの方の文章はさっぱりしすぎてるというか、現在形で話が進んでても過去の伝記でも読んでるような気がするんですよね。なのであんまり緊張感が感じられないというか、淡々と進んでいく感じが余計にダレるんだと思います。私にとってはですけど。

・畠中恵「ひなこまち」

若だんな、手助けするの巻き。
つってもだいたい毎回誰か助けてる気がしますが、今作は一本まるまるどんな相手に対しても助ける理由をあらかじめ与えられてるので本題にサクサク入ってくれる印象があった。それだけでなく「ひなこまち」の話も最後にかかってきたのはオオッってなりました。個人的には獏の話が好きだったな。

・勇嶺薫「赤い夢の迷宮」

もともとはひらがな表記(はやみねかおる)で推理ものの児童書を中心に書いてる人らしい。そのせいか主人公の口調が35にしてはどうも若く感じたけど、今の三十路ならこんなもんでもまあ普通かなって感じ。めちゃめちゃ読みやすかったです。話がサイコで物騒だから一般向けになってるだけで、文章自体は子供でも読めそうな感じ。
キャラクターがそれぞれ個性的で面白かったし、館モノに殺人鬼を二人ブチ込む大胆な作戦にびっくりしました。キャアは一体何者だったんだ…。
唯一誰からも名前を呼ばれない主人公「ぼく」についてはずっと怖いなと思ってたんですが、これはつまり…どういうことだってばよ…?
主人公の正体は小学生のころ幽霊屋敷で首をくくった少年の亡霊だった…というオチに見えるんだけど、だとすると登場人物と普通に会話してるのが解せない。ただ分からないだけじゃなく、「君の名前が分からない」「誰だか分からない」とハッキリ言われてるし。そんな人と普通に話せないっしょ。
となるとこれはすべて主人公の妄想、「赤い夢の迷宮」……つまり夢オチ……?というミステリーとしては反則気味な結末になるんですが、いいのかな…?
魔女の死を見る能力くらいのオカルト要素は全然オッケーだけど、ここはミステリとしてはきっちり決めてほしいとこだなーと思った。まあでも主人公が小学校の時に死んでたら、語り口がなんとなく幼いことも納得できるし、職業が小学校教師(それ以外の職業を詳しく知らない)なのも伏線だったのかな~という気はする。

でもその魔女の死視も謎なんですよね。Cちゃんには影が見えなかった→殺される場合は影が現れないのか?と魔女は推測したけど、魔女の方は殺されてる。
あと一番気になるのは、Cちゃんや魔女以外の人物に影はついていたのか、ということ。作中の描写だと、OGには影が付いてた(それもかなり濃い影)っぽいけど、それ以外のキャラには付いてなさそうなんですよね。明言されてないから全部こっちの推測ですけど。つーのも、いくら魔女が冷静な運命主義者だとしても、主人公とCちゃん以外の全員に影が付いてたらさすがに動揺するしもっと警戒すると思うんですよ。でもCちゃんが死んだ後の魔女の取り乱し方は、あくまで「クローズドサークルもので仲間が信用できなくなった人」の取り乱し方の範疇だった。疑わしい人物全員に死の影が付いてたら、「誰も信用できない」だけでなく「どういうことなの????」と訳わかんなくなりそうだし、死の影が唯一ついてない主人公を真っ先に疑うんじゃないかな。

つまり殺人の場合は影が現れないという魔女の推測は正しく、魔女の死は殺人ではなく本来同時期の事故によるものだった。しかし予定外の殺人で先に死んでしまった。
OGは「神」だったため運命に打ち勝った…みたいな?まず主人公(首吊り死体を見たいウガッチに殺された?)の赤い夢があり、それを融合させて迷宮を作り出したのが「神」であるOGとか…?なんかもうファンタジーの域になってきたような…。

・宮部みゆき「初ものがたり<完本>」

お馴染み茂七親分の捕物帖×季節の初ものを扱った料理もの。
つっても捕物帖ベースで料理をするのは謎の屋台の親父なので、あんまり初物!料理もの!って感じはしなかったな。普通に短編集って感じ。という感じでお話は安定して面白かったけど、結局屋台の親父の正体や勝蔵との関係はなんだったのーーー!!??
もしかしてこのシリーズ続くの?そこで明らかになるの?と思ったけど<完本>だしな…。なんとなく推測で「盗賊改めかもしれない」「兄弟なのかもしれない」とは言われてるけどボンヤリすぎる…。各話で事件を解決しながら屋台の親父の正体に迫るという構成だと期待してたので、まさかな~んもわからんまま終わるとは思ってませんでした…。つ、続き書いてください…。

お話の中では「鬼は外」が好きだったな。内に福を入れることに必死で、鬼になりそうなものは全部外に追いやっているうちに、内に鬼ができてしまった…みたいな虚しさ。「寿の毒」は、せっかく腕がよくて頭もよくて人気者で将来有望のお医者様なんだから、もうちょっとうまくやれんかったんか…とやるせなくなる。

・米澤穂信「ボトルネック」

自分がいない世界はどうなっているのか?そこに別の人物が入ってたどうなるのか?と、ちょっと想像するくらいは面白いかもしれないけどたぶん見たくはない。ましてやそれが今の世界よりずっと良い世界だったらなおさら…。
辛すぎるイフの世界を突きつけられる主人公が痛ましい。そしてこのオチ、どう見てもここから良い方に転ぶとは思えないんだけれど…。どう見てもデッドEDに見えるんだけど…。
あるとしたら最後の母親のメールで「なにくそ」と思って生きるルートなのかなあ…?でも「取り返しが付かない」「誰かに決めてほしい」からのあのメールだしなあ。イフの世界でも何か武器を手に入れたとか自分の魅力に気付いたとかじゃなく、「生きたくない」で帰還。サキは「あの子の望みを思い出して!」と言うけど、ノゾミの望みってまんま主人公を絶望させることじゃないかコレ…?どうあがいても絶望すぎる…。

ものすごく前向きに捉えると、
「生きたくない」発言により主人公が自分の命を蔑ろにしてたことに気付く→これからはちゃんと生きようとする=ノゾミの願い、みたいな…?

・貫井徳郎「崩れる」

サクサク読めた短編集。表題で一作目の「崩れる」を読んでまた社会派なのかな?と思ったら、それ以降はほんのりハッピーEDもありホラーもあり、世にも奇妙な物語っぽくて面白かった。個人的には「腐れる」が好き。

◆という読書感想文でした。
「しばらく読書控える」とは何だったのか…
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