12月だよ10冊感想文

2017.12.04 23:37|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・高田郁「残月」

しばらく忘れてた佐兵衛の話。というか佐兵衛の話が出てくるたび何やっとんじゃーーー男ならさっさとご寮さんに会いにこんかーーーーーー!!!と佐兵衛のうじうじっぷりにイライラさせられてたんですが、今回ようやく一段落して良かった。
又次さんのことがあったけど、つる屋全体の風向きが段々いい感じになってきて、澪の未来もはっきりして目的も定まってきて、周りもどんどん後押ししてくれるような環境が整ってきて、いよいよあとは突き進むだけだなという雰囲気。今まではずっとご寮さんの店が…つる屋が…のえちゃんが…小松原さまが…と捨てられない選択肢だらけでしたからね…。小松原さまのことは本当に残念だったけど、あっちもあっちで腹くくって幸せになろうと努力してるらしいので、これ以上想いを募らせるのは野暮ってもんですね…。げんさい様澪を幸せにしてやってくれ…。

・三津田信三「作者不詳」

実録系ホラーかなと思ったけど、今回は明らかに創作だったのであんまり怖がらずに読めた。
三津田先生カガクシ村もサギリも好きね~~~~本当に!読んでる最中は「どんだけヤバイ地域なんだよカガクシ村とその周辺…」「このサギリは『まじもの~』の事件の後なのか?」とか色々考えてたけど、最後まで読んでみると本当に三津田信三が好きだったからという理由だけで取り上げたんじゃないのか、と思わんでもない。
いわくつきの同人誌に載ってる不気味でホラーな話パートと、その謎を解決していく探偵(?)パートという構成は面白かったんだけど、「謎を解かなければ怪異に襲われる」という時限要素?パニック要素がどうもホラーにしてはあからさま過ぎて、また毎回キッチリ謎が解けすぎて、その点で実録ホラー感より創作っぽさのが勝ってたんだと思う。「謎を解かなきゃ怪異に呑まれる」というのも訳ワカランしね…。例えば恨みで悪霊になった人に「実はあんたが恨んでるあの人にはこういう事情があってね…」と霊本人でさえ知りえなかった真実を突き止めて怪異が収まる(成仏する)というのなら分かるんだけど、この話の場合だいたい怪異本人(?)が知ってる情報を明かすので「正解!オメデトウ!」ってクイズ感覚で収まってるように見えてシュールでした。

そんな感じで謎解き中心に読んでたんですが、終盤から「三津田信三」が浮かび上がってきて、最終的には「狂ってたのは主人公=作者だった」というオチでいいの…かな?そう思うとカバーの折り込みのとこに書いてる「迷宮草子をお持ちの方は~」という思わせぶりな「作者の声」がまったく別の意味を持ちだしてくる怖さ。話にレギュラーキャラとして出てくる友人は明日香の方なのに、ここのカバーのとこに出てるのは祖父江なのなんでだろう?明日香は死ぬのかな?とか思ってましたが、そういうことね…。

・高田郁「美雪晴れ」

とりあえずは芳の再婚がうまくいってよかった。つる屋の後継者も無事見つかって、周囲も澪が旅立つ準備を整え終わり、後は稼ぐだけ!というとこまで来た。
もうすっかり恋愛系の話は遠ざかったけど、げんさい様とは特に何もなく終わるんだろうか…。小松原様の助言も助かったけど、げんさい様の助言も最初からずーっと澪の支えになってたんだけど、そこ澪は特に何も思ってないんだろうか…。
あとオマケに出てくる「琥珀寒」って、もしかして「銭二貫」に出てきたやつかな?

・東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」

「密室の鍵~」のノリが合わなかったんだけど、ドラマが評価良かった気がする(見てない)ので読んでみた。
コミカルな作風は「密室の~」と同じ感じだったんだけど、お嬢様にボンボンに失礼な執事と個性的なメインキャラと噛み合ってるというか、普通にギャグとして楽しめました。影山も有能クール毒舌執事と思いきや、意外と愛嬌があって可愛い。面白かったです。
シリーズ全部読みたくなったし、ドラマも見たくなった。トリックみたいなギャグミステリー好きなんだよね~。

・阿川佐和子「残るは食欲」

小説じゃなくておいしい食べ物に関するコラム?エッセイ?って感じなんだろうか。おいしそうでした。次は小説も読んでみたい。

・高田郁「天の梯」

あ~~~~~~ついに終わったーーーーーーーー!!!
最後の最後で富三とか酪のあれこれとかトラブル持ち込んでくんじゃねーよ!と思ってたけど、その最後のあれこれでようやく佐兵衛も本当の意味で落ち着いて全部丸く収まってよかった。
げんさい様との恋はもう本当に「やっとか!!!!」としか言いようがない。長かったねげんさい様…。でも私は最初からずっとげんさい様派だったから…。小松原様もいい男だったけど、澪の職業的にも理想的にもげんさい様の方ががっちり噛み合ってましたからね~。小松原様は真逆だったから…。
でも二人の恋がさっぱり進まなかったのは、澪が料理バカってのもあるけどげんさい様も奥手すぎたのもあるよ…。男なら一発きめてくれ!とずっと思ってたので、本当にようやく言ってくれた感。

主要キャラ皆魅力的だったけど個人的に上位に入るのは清右衛門さんですね…可愛すぎる偏屈頑固ツンデレ親父…。大阪での店の名前でありタイトルにもなってる「みをつくし」をちゃっかり命名しちゃう可愛いオッサン…。終盤になると皆も扱いに慣れてきててまた可愛い。けしからん!!!!と文句言いながら無言で「ぬっと」空になった椀を差し出す、というくだりが一体何回あったのか。誰かカウントしてくれ。

・スティーブン・キング「夜がはじまるとき」

そろそろ海外小説も読みたくなったので、取っ掛かりとして言わずと知れた巨匠S・キングの短編集を借りてみた。…けど、4つ読んだくらいで挫折。
これはホラー中心でしかも短編集だからなのかな…?「魔性の猫」は普通にグロ怖いだけでそのまま終わったし、読んだ話はどれも最初の雰囲気そのままで、特にひっくり返ることもなく終わった感じ。怖さやグロさの描写、過程を楽しむ感じなのかな。雰囲気を楽しむタイプのホラー自体が私には合わないのかもしれない。元々ぐろいの苦手だし。
でもキングはたくさんある長編の方が圧倒的に有名なので、これでリタイヤせず次は長編(でもあんまり長すぎないやつ)に手をつけていきたい。子供のころ読んだ「ドラゴンの眼」っていうファンタジーは普通に読めたから、文章自体が受け付けないってことはないと思うんだよなあ。いや文章は翻訳した人にもよるのか?よくわかんないけど。

・小川洋子「最果てアーケード」

ずっと前に買ったまま積んでた文庫。まだ読んでなかったのかこれ!と思いながら読んだんだけどとても良かった…。すごく良かった…。いつもの不思議で繊細な小川洋子ワールドがあるのはもちろんだけど、主人公の「私」についても興味深くて最後の方は一気に読んでしまった。そしてちょっと涙ぐんだ。この余韻がいいんだよなぁ~…って思うから買って良かった…。
読書メーターで登録しようとしたら同名で漫画化されててびっくりした。小川洋子作品で漫画化ってあんまりなくない?こっちもいつか読みたいな~。

・近藤史恵「タルト・タタンの夢」

食べ物系日常ミステリというと前読んだ「和菓子のアン」もそうで、ちょっと嫌な予感もしたけど面白かったです。
和菓子のアンではどうも店長の推理が鼻につくというか、有能でいい人なのは確かだけどなんかいや~な気がしてたんですが、客が話をする前から買ったものや服装なんかで勝手に推測し始めてるところが詮索好きの野次馬っぽく見えてイヤだったんだと思います…。パ・マルのシェフは客が話をしてから自分の考えを言うって流れだったし、服装とか見た目での推理部分が少なかったためかそのへんの「なんかイヤな感じ」がなかったと思う。
ま~こぢんまりしたレストランのシェフと、デパ地下の店長では客との距離が違う(前者の方が気楽に話できそう)ので、後者は積極的に野次馬しなきゃいけなかったのかな…とは思う…。

謎解き自体はシンプルで「へ~」で終わることが多かったけど、基本的にほのぼのした話が多かったし何より美味しそうでした。

・宮部みゆき「三鬼」

お待ちかねの三島屋シリーズ四作目。全部面白かった~!
ひだる神のほのぼの美味しい話も良かったし、おくらさまの不気味な家神信仰もめっちゃ好き。表題作の三鬼も迫力があってすごかった~。
貧しい村で弱者の間引き、というのは昔話ではよくある話だけど、そのために村を二つ分けるという徹底ぷりがいかに厳しい状況なのか物語っている。皆…というか知ってる一部の人達はもともとそのつもりで暮らしてる、ってことだしね…。悲劇が常習化してるというかなんというか。
短気でヤンチャだった同僚がちゃっかり志津を娶っていったっていうエピソードだけはほっこりしたけど、それ以外は徹底して暗くてオチもすごく…好みでした…。
人を殺める仕事を率先して請け負う鬼だけど、決して血を啜って生きるような猟奇的な悪霊ではなく、村人の悲痛な悲しみが具現化して肩代わりしてくれた鬼だったんだな…。

「三鬼」が色々好みすぎて書くの忘れそうになってたけど、おちかの恋路も意外とあっさり終わってしまった…ってことなんですよね?浪人先生本人の過去は実はあんまり覚えてないんですが(確か三島屋シリーズじゃなかったよね?)、確か幼馴染の許嫁が強欲な殿様にほとんど殺されて逃げ出したとかいう話でしたっけ。峠を越える時に幼馴染を想って泣いた、みたいなシーンが印象的だった…気がする。
おちかとの恋は明らかにお互い意識してるけど行動に移せないうら若き二人って感じでほのぼのしてたけど、そういう甘酸っぱい恋はちんたら浮かれてる間にこういう外部のきっかけで呆気なく終わってしまうんだよなあ…という妙なリアルさが…。でもこの貸本屋さんと将来くっつくことになるのかな。続きも楽しみだー!

◆という読書感想文でした。
11月は10冊しか読めなかったので12月は特別貸し出し期間中にがっつり借りて冬の休館中にたっぷり読みたい。
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