一月読書感想文

2018.01.25 22:24|読書感想文
つっても今年読んだのはまだ5冊。
◎ネタバレ注意◎

・江國香織「ちょうちんそで」


実は初めて読む江國香織。この人の名前を聞くといつも桃井かおりの顔が思い浮かぶ。いや名前に引っ張られてるだけだけど。
この人の話も雰囲気や文章を楽しむ感じなのかな?視点がぽんぽん変わってほとんど交わらないまま一章が終わったので、「え??これで終わり??」と思ってるうちにだんだん繋がりが見えてきたけど、でもお話として明確なオチとかはなかった気がする。文章は好きなので他にもいくつか読みたいです。物騒な殺人事件ばっかり読んでると合間にこういうの挟みたくなるんですよね。

・スティーブン・キング「シャイニング」
 

映画は見てないけどあらすじで「幽霊屋敷で逃げ回るホラーパニック系なのかな」と思ってたら、意外と本番(ホテル)に入るまでの前置きが長かった。でもこの両親(というか父)の危うい精神状態や家族の雰囲気をジワジワ描きつつ、何度も引き返すチャンスを与えられながらも自らの意志によってホテルに残ることを決める…っていう引きはぞくぞくしました。
ウェンディにも問題はあったのかもしれないけど、それは純粋に息子を愛する母ゆえの思考って感じで個人的には特に悪いことだとは感じなかった。そりゃあの状況じゃジャックを疑ってもしょうがない。
けどジャックは、っつーかアル中は救えないなっていう印象。海外の人ってけっこう気軽にファッキンとか言う(偏見)からそういう文化?なのかもだけど、序盤のまだ落ち着いてるうちから内心妻をクソッタレとか汚い言葉で罵ることが多くてそのへんからどうも良い印象が持てないよね~…。学校をやめる経緯は同情するけど…。でもしょっぱなから「気に入らない」という理由だけで面接官を挑発する段階で「何この人??プライド高すぎて馬鹿なの??」と思ったし思えば最初から印象悪かったな。やっぱアル中はアカン。

ジャックがいなくなったエピローグでは、「ホテルから生還した」ということ以上に「ジャックというアル中男から解放された」ということにホッとした。ジャックはプライドのためにホテルの管理人にしがみついてたけど、母息子二人で慎ましく生きるぶんにはそこまで仕事に拘らなくてもどうとでもできるよね。若いんだし。

・島田荘司「透明人間の納屋」

おどろおどろしい装丁にぎょっとしながらも借りてみたら、これあのシリーズだったんですね。擬態児童書。いや正確には「かつて子供だったあなたと少年少女のためのミステリーランド」ってやつらしいですが、麻耶雄嵩の「神様ゲーム」といい良い意味で悪趣味なシリーズだと思ってます。良い意味で。
透明人間のくだりは私はまるっと真鍋さんに騙されてました。へ~島田荘司ってこういうファンタジーぽいのも書くんだ的な。後から偽札とか脱北者とかってワードが出てくるとじわじわ察してきましたが…。

冒頭で真鍋さんが語っていた「誰にも評価されない何物でもない人間=透明人間」は工作員だった真鍋さん自身のことだった、というのは作中で説明されたけど、もう一つ語っていた「当然のことと信じていたことの方が実は間違っていた」という地動説の話も、後々の真鍋さんのことだったな…でもこの時の真鍋さんは自分がそうだとは思ってなかったんだよな…という皮肉な話だった。

・畠中恵「すえずえ」


しゃばけシリーズはサザエさん方式でずーっと若だんなと愉快な妖怪の仲間たちを見守りたいのに、話の節々で着実に時間が過ぎているのをヒシヒシと感じさせられるのが切ないとこだと思う。
今すぐにどうこうなるという訳でもないし時間の経過はすごくゆっくりなんだけど、今回で栄吉も若だんなも婚約者が見つかって、また一歩終わりのようなものに近づいたんだな、という感じがする。
最後の山童もあの場に若だんながいたら絶対助けてくれたと思うけど、誰も彼も助けてたら若だんなの心労が増えるばかりと、妖怪たちが若だんなの命を大事にしようとしてるのが切なかった。

・柚木麻子「ランチのアッコちゃん」


なんというかお話として面白いというより、新しい商売とか何か新しいことを始めようと思ってる人向けのお話って感じがした。
東京ポトフのゆくえは気になるのでこの後のシリーズも追いかけたい。

・今邑彩「卍の殺人」


コートのボタンが強調されるとこらへんからして明らかに部屋の交換がある(あった)んだろうな、とは思いつつ見取り図を見てトリックを考える気にはならず普通に最後まで読んで驚いてました。いやでも亮子も「女性は方向音痴が多い」「地図を見ても目的地にたどり着くのに難儀することがある」って言ってたし…。わたし見取り図とか見てもムダなんで…。
終始シッカリ推理してたように見える匠だけど、最後まで読むとやっぱり匠も一族の「弱い男」だったんだなあという気がする。目の上のたんこぶである兄姉にしたって、どうしてもイヤなら家を出ればいい話だし。実際亮子となら家を出て普通に暮らすことができたのに、宵子と家を出ることができないのは、プライドの高い宵子を説得するだけの力がなかったってことだもんな…。
推理してる時はかっこよく見えたけど、エピローグでは「分かってはいるのにどうしてこっちを選んでしまったんだろう」とウジウジしてる姿が最高にかっこわるかったです。

・東川篤哉「謎解きはディナーのあとで2」


相変わらず面白かった。なんかギャグが1より更にはっちゃけてた気が…。ツッコミが激しくてキャラがすごく動くので、前やってたドラマを改めて見たいな~~~~って思いました。
最後の話で麗子が初めて影山のことを「大切な人」と言ってラブコメの波動を感じたんだけど、これは風祭ルートなのか…?こういう流れになるとなんだかんだ麗子がくつろげるのは風祭の方なのでは?なんて気になったんだけど、この恋路が3で決着を迎えることはあるんだろうか。割とどうでもいいっちゃどうでもいいけどこっそり期待しときます。

・畠中恵「なりたい」


なんかテーマ的にもしかして最終巻??とか思ったんですがまだ続きあるようで良かった。どれもいい話だった~。
生まれ変わってもまた見つけてみせる、ってロマンだよな…。あの手代コンビなら若だんなのことならまあ見つけられるだろうなと思うけど、個人的には「猫になりたい」の猫一行が気になる。仔猫のうちに見つけて大切に保護して猫又にしてやる、ってめちゃめちゃロマンだと思う…。想像するだけで可愛い…。
「りっぱになりたい」のオチはすごいいい話だったけど、お千幸とその相手はちょっと先走りすぎなのでは…とはずっと思ってた。身分違いの恋じゃなく互いにそこそこいい条件なんだから、いきなり駆け落ちするんじゃなく相談すればいいのに。別に反対されてたわけでもない、というか好きな相手がいることすら隠してたのに。一人残された跡取り娘が兄の葬式のその日に出奔するっていくらなんでも酷いでしょう…。親が心労で兄を追うように死んでも不思議じゃないぞ…。

・高田大介「図書館の魔女」
  

な…長かった…!
本格ファンタジーと思いきや、巨人みたいなちょっと異常な進化を遂げた生物はいるけど魔法や錬金術みたいな不思議パワーはなく、基本的には中世くらいの文明と思っていいのかな?上の終盤で巨人が出てきて「あっそういやこれファンタジーだっけ」と久しぶりに思い出した。あのあたりからようやく話が大きく動き出して面白くなってきた感じ。
キリヒトとマツリカの手を繋いで行われる二人だけの特別な手話、というのは萌えるものがあったし双子座屋敷の互いを補う共闘は燃えた。
ただどうも万事において説明パートが多すぎて、かなりかっ飛ばして読んだ部分も多かったです。怪しい二人組の特殊な方言から出身地を探るくだりとか、錬金術秘宝の発禁書という名目と文章力の低さのギャップを指摘するパートとか、確かに実際そういうのあるよね、というニュアンスは伝わるんですが、どうも「架空の言語のお勉強」をさせられているようで。読んだ後で作者は言語学者というの知って納得。架空の言語って言っても西洋と東洋をくっつけたような世界観だったし、モデルになってる言葉があるんでしょうけど。
レビューで高評価してる人も「飛ばしたところ多い」と言ってる人多いし自分だけじゃなかったと思うとちょっと安心…。でもまあ「言葉」が重要な物語だから、不必要なとこをごそっと切る訳にはいかないんだろうなというのも同感です。ニザマでのキリンの説得なんかもめっちゃ長かったけど、会話の間で微妙に変わっていく関係を言葉遣いから読み取るのも面白いとこだと思うし。

ラスボスかと思われてたミツクビはとっとと遁走して、双子座関連がメインで終わったのはちょっと拍子抜けた。続編あるぽいから、タイキらが探してた隠し子とかと合わせてそっちで大団円になるのかな。
マツリカ様はツンデレ、と一言で表現できるような方じゃないんですが、

――どうしたキリヒト。(傲慢)そばを離れないでよ。(甘える)

みたいなギャップが可愛かったです。
いやでも皆黙ってる時でも二人で手を繋いで会話してるのはほんと美味しいよなあ…。マツリカがずけずけ言いまくるもんだから翻訳させられるキリヒトの方が気まずい、という図も可愛かったです。

・三津田信三「わざと忌み家を建てて棲む」


実録系ホラーは怖いからもう読まない!って決めたはずなのに借りてしまった…。
話はタイトルそのまま、「わざとヤバイ家を建てて住まわせる」というヤバイ試みの記録が中心になってるんですが、この試み自体はすごく面白いと思ってしまった。でもこの本は徹底的に実録として描かれてるので、これを素直に「面白い」と言っていいのかギモンである…。
私は前作(どこの家にも~)の感想を「創作なんだろうけど限りなくリアルで怖い、参考文献載として作中作を載せたり最後まで芸が細かい」みたいな感じで書いてたんですが、「わざと~」の最後では「あれを創作だと思ってる読者もいるみたいだよ。作中で扱った『〇〇』や『××』は実在するのにね」みたいな会話があってドキッとしました。すごい釘刺された感じで。笑
でも怖いので私は作中作が実際あるかどうか調べませんしぐぐりません!これは創作だと思い込みます!!!

◆という読書感想文でした。

※1/30追記
質問箱の運営元が変わってからだんだん痛ましくなってきたので利用停止しました。
私は本来の意図とは違う使い方をしてたので規約が変わっても特に困ることはないとは思うんですが、かといって無理して使い続ける理由も特になかったので。
今後おすすめの本があればコメントor拍手で教えていただければさいわいです。
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