畠中恵率が多い十冊感想文

2018.02.10 00:10|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・島田荘司「アルカトラズ幻想」


島田荘司はもうシリーズとか調べず目についたものから読んでるんだけど、「ネジ式~」を既に読んでたためパンプキン王国のくだりはなんとなく察してた。
それはそれで不思議な雰囲気が面白かったんだけど、なんつーか「猟奇事件+論文」パート、「刑務所」パート、「パンプキン王国」パート、三つが独立してて繋がりが薄いというか…いや確かに繋がってるし段階は踏んでるけどどんどんジャンルが別物になっていくので、(猟奇的殺人事件もの→スリリングな刑務所脱獄もの→象徴的な謎の世界)、あんまり伏線回収!みたいな爽快感は感じなかったかな…。
刑務所→パンプキンは明確に繋がってるし、動機である恐竜への興味が地底国への興味へ繋がるのも分かるんだけど、最後まで読むと最初の刑事目線の事件パートだけすごい浮いてるきがする。
「知的好奇心が旺盛すぎるためとんでもない事件を犯して刑務所に投獄されたが本質的には善人で優秀な若者」という人物を作るために必要だったんだな…という制作側の都合を感じさせるというか。失語症の少年とか刑事の憂いとかは本格的だっただけに、余計に「最初とはずいぶん違うところに着地したなあ」って感じ。

・畠中恵「ゆめつげ」


しゃばけシリーズ既刊ぶんをそろそろ読み終わりそうなので別のシリーズや単発も手を付けていくことにした。
タイトル通りの「夢占いの力がある神主の話」という不思議系ファンタジーかと思いきや、しゃばけシリーズより少し後の攘夷やらが盛んになる江戸時代が舞台らしく、物騒な展開が多かった。その合間合間で急に夢に取り込まれるシーンもあるのであれ?ここ夢?現実?と読みながら混乱することもちょこちょこあった。
弓月は物腰柔らかだけど頭がよくて夢告の実力はあるっていうしゃばけの若だんなに似通うとこあったし、それを諫めるしっかり者の弟の組み合わせはなかなかに萌えるものがあった…。特に最後に弓月がオトリになるって言って別れるとこらへんのシーンとか…。
しかしそんなおっとりしたお兄ちゃんの実力を認めてドサクサに紛れて京に連れていこうとする有能彰彦さんも美味しかったです…腐っててすいません…。

ピンチの時に夢告を暴走させる→自分と身内は慣れてる(知ってる)から軽症で済んだけど敵側は慣れてなくて被害甚大!という自爆特攻は、薬にだけは慣れてる若だんなを彷彿させてちょっと笑いました。若だんなもそういうことあったよね…?w

・百田尚樹「フォルトゥナの瞳」


面白くてがーっと読んでしまった。
しかし主人公がつくづくお人よしで自己犠牲の精神に溢れた善人で、正直見ていて痛ましかった…。私なら見ず知らずの他人のために命かけるなんて馬鹿げてる、っていう黒川の主張に同意するんだけど、でも実際本当に見えてしまったらどう思うかわかんないなあ。
葵については主人公目線を本当に最後の最後らへんまで読んだところで「あれ、そういえば葵って…」と思ってようやく気付きました。が、黒川の存在を考えればもうちょっと早く気付いてもぜんぜんよかったですね…大量に分かりやすい描写があったわそういえば。葵が「他人のために生きることができる人だから」と言ったのもかなり分かりやすく指摘してたんだな…。
自分を抱くことで主人公の腕が消えていく瞬間を目の当たりにした葵の心境といったら絶望しかなかっただろうな…つらすぎる…。
「フォルトゥナの瞳」については「神様の作ったバグみたいなもの」としか言われてないけど、これが神の意志によって与えられたものなら残酷としか言いようがない。
でもなんだかんだ黒川と主人公が人を助けて死に、葵は苦悩しながらも生き残ってるらへん、こういうのは女の方が生き残るもんなのかなあ…とちょっと思った。葵も主人公を助けようとはしてるけど、なんだかんだ主人公の助言してくれた黒川と違って自分の能力のことは言わなかったし。なんというか男の方がヒーローになりたい願望強そうな気がするし、女は自分と自分の身内(家庭)を守るためなら心を鬼にできるっていうイメージ。母は強し的な。

・畠中恵「おおあたり」


けっこう大きな事件はちょくちょくあったけど、若だんなが直接危ない目にあうケースがあまりなかったからかのんびり読めた気がする。
「長崎屋の怪談」の話は切なかったし、栄吉はドンマイって感じだけど…。いや私も栄吉一行らが長崎屋に乗り込んできた時から、なんでお千夜は黙ってんの??って思ってたけど…。借金があって~とか困った事情はないんだからお千夜が断ればいいだけの話じゃん?熱烈に求愛されてときめいちゃったの?みたいな。
でも最後の「暁を覚えず」は珍しく若だんながほのぼの一人勝ちして微笑ましかったです。栄吉のメシマズ度に磨きがかかってるのがアレでしたが。

・前川裕「クリーピー」


隣人がどうのというよりサイコパスの犯罪者がなんやかんやで無双する話だった。世界仰天ニュースとかでたまに一家全員洗脳事件とかあるし、やろうと思えばやれるのかなあみたいな感じ。
主人公が(事件に対しては)わりとちゃんとしてる方なのではらはらしながらも割と安心して読めた。が、ごちゃごちゃ言い訳しながら女子大生と何度もデート行くのはやっぱ若い女に弱いスケベオッサンだなと思った。こまめに罪悪感を覚えてる描写はあるけど結局会いに行くのではいはい言い訳乙って感じでちょっと鬱陶しい。
この女子大生パートいる?とか、澪がピアノやってたって言及することはなんか後々なんかあるの?とか色々思ってたので、最後には「へーこういうふうにしてくるのかー」って感じだった。

この方の本は今回初めて読んだんですが、なんか文章が独特というか読点が多くて個人的には読みにくかった。息がつっかえるというか、テンポが阻害されて文章が逆に無機質に感じられるというか。感情移入しにくい文章でした。

・畠中恵「つくもがみ貸します」


付喪神の力を借りながら謎を解く、しゃばけの雑貨レンタル屋バージョンかと思いきや、付喪神たちはしゃばけの妖怪たちよりかなり意地悪な様子。おたえさんや若だんなは特別な血が流れてるから妖怪からも大切にされるけど、損料屋のきょうだいは普通の人間だから丁重に扱う必要ナシってことかな。
一話完結で事件を解決しつつ、裏ではずーっと「蘇芳」にまつわる話が動いてて、このへんの色恋沙汰で最初はお紅が若干鬱陶しいなと思ってた。いつまでも昔の男引きずってるなよ的な。…が、最後まで読むとずーっと踏み込めずにうじうじしてたのは男の方だったんだなあ…。そりゃお紅だって自分に箔付けるために単身雲隠れするような男より、つらい時にずっとそばにいて支えてくれる清次の方がいいよね…。つーか私だったら相手の無事を祈って苦労して用意した香炉を己のプライドのために何の躊躇もなくガッシャンされた時点で「は???」ってなるし、戻ってきたと思ったら同じ型の香炉を探すまで会いに来ないとか言われると「一度は自分で壊したくせに何言ってんの?今更香炉とかどうでもいいしあんたのプライドなんてもっとどうでもいいわ」ってなるわ確かに。

・島田荘司「ゴーグル男の怪」


序盤からゴーグル男=事故に巻き込まれた3人目というミスリードがガンガン入ってもうそうとしか思えなくなってたし、でもゴーグル男(?)視点だと夢遊病みたいになってるしこのオチだとつまんないな…と思ってたら見事きっちり謎が繋がって解決してスッキリしました。被爆した人の描写がすさまじくエグかった。

・畠中恵「つくもがみ、遊ぼうよ」


しゃばけシリーズみたいにちょっとずつ時間が経つのかと思いきや、いきなり子世代になっててびっくりした。
でも子供相手だと付喪神達もあんまり意地悪できないみたいだし、等身大の友達みたいに仲良くやってて可愛かった。

・恒川光太郎「夜市」


ホラーというより幻想的でちょっと不気味なファンタジーって感じで良かった。世界観が好き。

・内田康夫「佐用姫伝説殺人事件」


浅見光彦シリーズをテレビでちょっと見たことある程度で全然読んだことなかった人。
基本シリーズものは順番に読みたい派だけど浅見シリーズも量が膨大なので、もうここまで来たら逆にどこから読んでもいいだろ、と思って棚にあるものを借りてみた。
こういう殺人事件に伝説とか絡むの大好きなので他も色々読みたい。

◆セブンスドラゴンもやりたいけどまた特別貸し出し期間だからしばらくがっつり読書かもー!
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