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4月のだいたい10冊読書感想文

2018.04.10 21:25|読書感想文
◎ネタバレ注意◎

・風野真知雄「妖談さかさ仏」


段々奉行所システムが分かりかけてきた…と思ってたけど今回は新たに寺社方が絡んできて「組織社会ややこしい…」ってなってました。
今回はシリーズ全体にかかわる「闇の者」がキリシタン関連かも?で終わってさかさ仏については全部解決ってことにはならなかった…って感じなのかな?なんかモヤモヤするので続きが見たい。あと前作シリーズに出てきた坂巻と粟田も普通に出てきて四人で顔見知りっぽくてなんか嬉しくなった。

・群ようこ「かもめ食堂」


かなり強引で都合のいい展開も多かったけどほのぼのあったかい空気が良かった。癒されたい時に読むといいと思う。
でもこだわりのおにぎりに関しては(サチエの主張も分かるけど)もうちょっと歩み寄ってもいいんじゃない?とは思ったかな…。見た目の問題じゃなく実際に食べたトンミが涙目になるレベルで口に合わないならさすがに手を打った方がいいのでは?と思ってしまった。フィンランド人に合いそうなアレンジ系のおにぎりを出してまず親しんでもらった後本格派おにぎりを出すとかさ。
何かの小説でこの作品が「食堂かたつむり」と並んで「料理もの」「ごはん系」と紹介されてたんだけど、あんまりご飯もの小説って感じはしなかったかな。

・天童荒太「悼む人」


正直な感想を言うと長かった。多数の死者のエピソード云々は正直飛ばし飛ばし読むところも多かった。
が、母親の闘病パートがものすごく細かくて丁寧で母親パートはたびたび泣いてた…。よその人悼んだり同行者と語ってるヒマあったらお前さっさと戻ってこいやあああ!!となること多数。
という神視点を除けば、死者に対して平等に徹底的に「エグく」掘り下げるのが蒔野で、平等に悼むのが静人なのかなあと思った。
蒔野の後輩記者が、とある死者には同情的で別の死者には「自業自得」と言ったのを内心蒔野が「どういう基準だ」と思う場面があるけど、あの後輩の感じ方こそが一般的な日本人なんだろうなと思う。他人の情報が断片的、誰かの主観によってしか入ってこないというのは誰でも一緒なのに、一方的に「可哀そうな死」と「自業自得の死」を区別する一般人より、全部ひっくるめて悪い方に見る蒔野の方がまだ健全なのではと思ってしまった。いや全部悪い方に見る人もそれはそれで嫌だけど。

・風野真知雄「妖談へらへら月」


やっぱりまだ続いてたさかさ仏とキリシタン関連。というかこれがこのシリーズのテーマなのかな。町方と寺方とかよく分からんけど組織内の対立はめんどくさいよなあという印象。
前からちょくちょく出てた「さんじゅあんさま」は、闇の者を率いる親玉なのかそれとも善人が悪の組織に祀り上げられてるのか微妙なとこでしたが、最後に鳩出したとこで「あっこいつは信用できないわ」と確信しました。

梅次も旗本の娘さんのこと気になりだしていよいよカップル(未満)の組み合わせが増えてきたけど、椀田はまじで小力に行くんだろうか…。個人的にあの子は椀田をいいように使ってるように見えていい印象ないんだよな。「さかさ仏」の柳の根元に子供の亡骸を埋めた女の話では機転の利く優しい娘に見えたんだけど、基本的に最初からずっと察してちゃんなんですよね。私の口からは言えない事情があるから黙ってるけど許してね、みたいな感じ。実際黙っててもしょうがない事情なんだけど…とにかくモヤモヤするのでくっつくにしろこっぴどく振られるにしろどっちでもいいからすっきり決着付けてくれ~~。

・島田荘司「追憶のカシュガル」


東日本大震災の追悼を込めて書かれた作品らしく、御手洗シリーズには珍しく(?)あまり物騒じゃない短編集だった。ミステリというより戦争の悲惨さを回想形式で見る連作。戻り橋の話が興味深かった。

・風野真知雄「妖談ひときり傘」


こういっちゃアレだけど、なんとも美しくて切ない人殺し集団だったなと…。いややってること自体は殺しだしさんじゅあんにいいように洗脳されてたともいえるんだけど、雨の日に花が咲くように美しい傘八つ現れ、さっと引いた時には死体が一つ残されている。という風景は映像にするとすごくきれいだろうなと思った。

そしてどんどん血なまぐさくなるさんじゅあんさま。途中から教えのために段々手段を択ばなくなったというより、最初の殺しがきっかけで教祖になってったみたいだしもう血で汚れまくってるじゃん…。あとひびきの恋路も気になってる。おせんも普通にいい人だけどひびきは本当にこれでいいの?分裂してくれ宮尾様ー!

・畠中恵「アイスクリン強し」


この前読んだ若様組の前作?らしいので借りてみた。若様組ではヒロインぽかった沙羅さんは長瀬とミナどっちとくっつくの?と気になってたんですが、これを読むと完全にミナルートみたいですね。
沙羅さんがお見合いで親を納得させつつさらっと男を見極めるくだりが良かった。愛情的な意味でも知識的な意味でも劣ってると証明したらそりゃ親バカかつ有能成金のパパは納得せざるを得ないよなって感じ。しかし飾りの夫を立てて沙羅が店を動かすとしても、ミナはパティシエ目指してるから飾りの夫になるのも難しいような…?色々先行きが気になる二人。

・高橋由太「もののけ、ぞろり」


時代物妖怪ファンタジーということで読んでみたんだけどユキ様が出てきたところくらいで挫折。
設定がまんまハガレンなのはまあいいとしてもおこうが助けにきたところからノリが一気にめちゃめちゃ軽くなったし私が思ってるよりファンタジー要素が強すぎた。なんだろう、妖怪の不思議な話は好きなんだけどこういうタイプになると苦手というか…自分ではうまく説明できませんが…。
江戸の日常ものも書いてるそうなので次はそっちを試したい。

・柴田よしき「さまよえる古道具屋の物語」


人生に迷う人々の前に現れる謎の古道具屋、どう見てもガラクタにしか見えないものなのになぜか買ってしまい、それが運命を左右することに…。という出だしはとても好みだったんだけど、最終的にはなんかいまいちだった。
なんというか豚とかバケツとかが買い手に与えたのはものすごく精神的・抽象的なイメージでそれ自体に不思議なことはなく、買い手が勝手にいいように解釈してなんかいい話になってんな~…と思ってしまった。
だから底のないポケットのとこは道具屋の黒い面が見れて面白かったんだけど、それも「エプロン自体におかしなことはない、間違っていたのは自分達の方」の一点張りに違和感。
終盤に買い手が集合して「闇」とか「意志」とかふわふわした言葉で推理して慰めあったりしてるところは正直興ざめだった…。全体的に「みんな色々しんどいしつらいことあるししょうがないよ、あなたは反省してるし悪くないよ」という言い訳パートが長いんですよね。
男にも女にも見えない年齢も分からない、言葉遣いも相応しくないハットリ君のお面の店主の正体は「そうきたか」と思ったけど、それにしても言動がちょっとおかしすぎるんではないかと思う。
個人的には登場人物同士につながりを持たさず「不思議な古道具屋とその店を訪れる人々」の短編集で十分だったな。

・内田康夫「箸墓幻想」


奈良県邪馬台国古墳ミステリー。
殺人事件の謎を解くために、残されたわずかな手紙と写真から半世紀も前の若者たちの関係を洗い出していくと、意地と悲劇とすれ違いの恋物語が浮かび上がるってくる。陰惨な事件の謎やトリックを追うというより、かつての若者たちの恋物語を想像しながら追っている部分の方が圧倒的に多くて全体的にふわふわしてるというか、こういうところが「幻想」なのかなあと思った。

話を聞いてると小池先生は能力はあるけど恋愛面では相当なヘタレだなと思ったし、みさおは美しい初恋の君かと思いきや妄執に取りつかれてたけど、イザナギイザナミに被らせてるんだなと思うと納得の設定だった。でも二人の因縁の巻き添えのような形で実の娘や関係のない人まで死んじゃうのは悲劇だなあ…。
弥生さんか誰かの台詞で「今の若い人は私たちにも若い時代があったことなんて想像もできない。そのくせ神話の恋物語には熱を上げたりする」というのとか、「50年の何十倍かさかのぼれば古墳時代にも繋がってる」みたいな台詞があったけど、人が恋に狂って恋に死ぬのは古来からずっと繰り返される悲劇なんだなと思った。

・小野不由美「残穢」

面白くて一気に読んでしまった。
最終的には奥山家という最恐の家に辿り着いたし、晴れ着で首を釣る女とか複数の赤ん坊の声とか床下で動く気配とか放火に走らせる声とかそのへんのところには一通りの回答が得られたけど、不幸がある時に笑う絵の女は一体何者だったんだ…?なんでそんなものを嫁入り道具に持たせたんだ…?とまだ先もありそうな感じがして怖い。しかも新たに孤独死した老人の怪が増え、今後もどんどん穢れが他の穢れを巻き込みながら感染していくのが怖かった。こういうのなんていうんだっけ?こう…どんどん大きくなっていくやつ…塊魂的な…。
三津田信三作品ならこれで最初と最後に「これを読んでいる読者にも障りがあるかもしれない。」と再三警告が入るとこだけど、とりあえず私はそういう家にあたりませんように…。

◆という読書感想文でした。
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